研究課題/領域番号 |
20K21388
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 (2022) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
梅田 眞郷 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (10185069)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 細胞内温度 / 脂肪酸不飽和化酵素 / 膜脂質 / ミトコンドリア / ショウジョウバエ / 酸化的リン酸化 / ATP合成酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、個々の培養細胞内の温度は、早い熱拡散により細胞外溶液と熱平衡にあり、細胞が自律的に細胞内温度を制御するとは考えられていなかった。申請者らは、ショウジョウバエの温度適応を解析する過程で、各種の細胞内温度計測プローブを駆使することにより、ショウジョウバエ細胞の細胞内温度が培養温度より3℃程高く維持されており、低温暴露によりATP合成酵素の活性化が促され、細胞内温度の恒常性維持応答が起こることを見出した。本研究では、細胞内温度の受容と温度制御に関わる分子群を同定することにより細胞内温度制御を司る分子経路を明らかにし、「温度」を介した新たな情報伝達機構の実体を把握し、その生物学的機能を解明する。
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研究成果の概要 |
細胞内温度は、生物の幅広い細胞機能に影響を与えるが、個々の動物細胞の温度が環境温度の変動に応じて自律的に制御されているかどうかは明らかではない。 我々は、ショウジョウバエ細胞の細胞内温度がDelta-9脂肪酸不飽和化酵素 DESAT1 に依存して維持されていることを見出した。さらに、DESAT1 を介した細胞内温度の上昇は、F1Fo-ATPase 依存性のミトコンドリア呼吸の亢進、およびミトコンドリのアクリスタ構造のリモデリングを通じてなされることを明らかにした。これらの発見から、我々は「細胞内微小空間における細胞自律的な温度制御」という温度制御の新たなメカニズムを提唱する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
温度は、分子の存在状態や反応性を規定する最も重要な物理量であり、生化学反応を始めとする全ての生命活動が温度により強く影響を受ける。従来、単培養した数十マイクロメーター程の細胞内温度は、早い熱拡散により細胞外溶液と熱平衡状態に達し、個々の細胞が自律的に細胞内温度の恒常性維持を図っているとは考えられて来なかった。本研究により、環境温の変動に対応して細胞内温度を制御する新たな分子機構が明らかにされ、「細胞内微小空間における細胞自律的な温度制御」と言う新たな概念を提出する点にその学術的意義がある。
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