研究課題/領域番号 |
20K21399
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 達郎 九州大学, 理学研究院, 教授 (50452420)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | DNA損傷チェックポイント / ミスマッチ修復 / ツメガエル卵抽出液 / 相同組換え / 染色体不安定性 / ゲノム安定性 / ATM / 相同性依存的修復 / 損傷チェックポイント |
研究開始時の研究の概要 |
DNA二重鎖の切断(DSB)応答は、たった一カ所でも致死的となる重大な損傷であるため、DNA損傷チェックポイント機構により厳密に監視、検出されている。DSBは非相同末端結合および相同性依存的修復という二つの修復経路で直される。相同性依存的修復は鋳型となる配列をコピーして修復を行うため、正確性が高い重要なDSB修復機構である。しかしながらこの経路の正確性を維持するには、正しい配列を鋳型として選択することが必要である。本課題では、本研究者らの予備的な実験結果をもとに、DNA損傷チェックポイント機構が相同性依存的修復の正確性を高める可能性を検討し、その分子メカニズムを解析する。
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研究成果の概要 |
DNA損傷チェックポイント機構は、細胞周期の調節や損傷修復反応の誘導を介して、二重鎖切断損傷に対する適切な細胞応答を制御する。本研究では、ツメガエル卵無細胞系を利用し、DNA損傷チェックポイントが、相同組換えによる二重鎖切断損傷の正確な修復に及ぼす影響を調べた。ATM損傷チェックポイント経路を抑制すると類似配列間の組換えが上昇したことから、ATM経路は組換えの正確性を制御する可能性が示唆された。また、主要な組換え制御因子の一つについて、類似配列間の組換えに特異的なリン酸化修飾を見いだした。これらの結果は、損傷チェックポイント機構による組換え正確性制御の新しいメカニズムを提案する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
遺伝情報物質であるDNAの損傷とその修復は人類の健康と医療にも密接に関連する重要な反応です。DNAの損傷は「損傷チェックポイント」と呼ばれる反応によって検知され、これによって細胞は損傷に対して適切に対応することができるようになります。今回我々は、損傷チェックポイントがDNA修復の正確性を向上させるという、新たな機能を発見しました。この機能は、細胞がDNA損傷を適切に修復するためにはたらくと予想されます。今後、この反応のメカニズムが解明されることで、この反応を原因とする染色体の不安定性や、それにつながる疾患などの理解につながると期待されます。
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