研究課題
挑戦的研究(萌芽)
小胞体不良タンパク質(ERAD基質)は、直鎖化され細胞質に排出された瞬間にUb化される。しかし、哺乳類細胞には少なくともERADユビキチンリガーゼ(E3)として13種類の細胞質局在型が知られており、分解が運命づけられた基質のUb化のためにこれほど多くのE3が進化的に保存されている理由は現時点で不明である。代償性が考えられるが、個体レベルでは、HRD1を含むいくつかのノックアウトマウスは致死性で、ERAD-E3間には基質特異性があると予想される。申請者は、必要性に基づく解析ではなく、細胞内でE3によって実際にUb化されるタンパク質を直接検出する技法が必要であるとの着想に至った。
タンパク質分解システムの破綻は、不良タンパク質を蓄積させ神経変性疾患などのコンフォメーショナル病の発症に繋がることから、その理解は重要な研究課題です。研究代表者は小胞体の品質管理に必要なタンパク質分解に関する研究を推進してきた。タンパク質分解において「分解される不良タンパク質のユビキチン化に特異性はあるのか?」あるとすれば「その特異性の法則は?」といった疑問が未解明で、これらを解決するための新規ユビキチン化基質同定法を開発した。
本手法の確立によって、小胞体におけるタンパク質分解に関与するユビキチンリガーゼの基質を同定することに成功した。本手法の獲得は、理論上全てのE3に応用可能である。今後は、真核細胞での網羅的解析により、タンパク質分解だけでなく新規シグナル伝達経路の発見にも繋がると期待される。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
iScience
巻: 24 号: 7 ページ: 102758-102758
10.1016/j.isci.2021.102758
臨床免疫・アレルギー科 科学評論社
巻: 75 ページ: 226-232