研究課題/領域番号 |
20K21419
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
笠原 博幸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00342767)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | オーキシン / スベリン / カスパリー線 / フェニル酢酸 / 生体防御 / 植物ホルモン / インドール酢酸 / 成長調節 / 成長制御 |
研究開始時の研究の概要 |
オーキシンは植物の様々な形態形成を制御する植物ホルモンである。これまでインドール-3-酢酸(IAA)の生理活性や極性移動する特徴をもとに成長や分化、環境応答のメカニズムが考えられてきた。申請者らは、フェニル酢酸(PAA)がオーキシン受容体に結合するが、重力方向に極性輸送されないユニークな特徴を持つオーキシンであることを発見した。最近、シロイヌナズナを使ったオーキシン応答遺伝子の解析から、PAA処理により多数の生体防御関連遺伝子の発現が誘導されることを見出した。本研究では、PAAが植物の生体防御に重要な役割を持つオーキシンであることを生化学・分子生物学的な手法により検証する。
|
研究成果の概要 |
オーキシンは植物の様々な形態形成や環境応答を制御する植物ホルモンである。オーキシンの中で、インドール-3-酢酸(IAA)の機能解明が進んでいるのに対し、フェニル酢酸(PAA)の役割がまだ不明である。本研究では、PAAが内皮細胞の細胞壁を構成するスベリン層やカスパリー線の形成を調節することにより生体防御に関与している可能性を調べた。RNA-seq解析の結果、PAAはスベリン層形成に関わる多くの遺伝子の発現を誘導することが示唆された。また実際にPAAはスベリン層の形成を促進することが顕微鏡解析により示された。一方、PAAとIAAの両方がカスパリー線形成に関わる遺伝子の発現を抑制することが分かった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
植物の形態形成や生体防御の仕組みを解明することは、植物科学の基礎においても、また農作物の増産などにも繋がる重要課題である。本研究では、内皮細胞の細胞壁であり物質輸送の障壁として重要なスベリン層とカスパリー線の形成に関わる遺伝子が、植物ホルモンのオーキシンによる発現調節を受けることを明らかにした。これまで生理的役割が不明であるオーキシンのフェニル酢酸(PAA)をシロイヌナズナに処理すると、スベリン合成遺伝子の発現を誘導し、また根でスベリン層の形成を促進することが観察された。以上の結果などから、PAAが植物の生体防御において重要な役割をもつ可能性が示唆された。
|