研究課題/領域番号 |
20K21425
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 淑子 京都大学, 理学研究科, 教授 (10183857)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 腸蠕動運動 / 振動波 / 腸平滑筋 / カハール介在細胞 / トリ胚 / Neural crest cells |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに発生中の胚を用いることで、腸がもつ内在的な蠕動運動ポテンシャルとその遺伝プログラム制御の可能性を見出しつつある。また腸由来細胞を用いた長期培養法を可能にすることで、「腸収縮オーガノイド」の作製に世界で初めて成功した。これらの独自解析系を用いることで、特に蠕動運動のペースメーカーと考えられていたがその実体が謎であった「カハール介在細胞」の理解が一気に進み始めた。カハール介在細胞が腸平滑筋や腸神経系とネットワークを作る機構を明らかにし、蠕動運動を可能にする細胞-組織ー器官の協調的制御の全容に迫りたい。
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研究成果の概要 |
食べ物の消化・吸収にとって重要な腸の蠕動運動では、収縮運動リズムをコントロールするペースメーカーであるカハールの介在細胞(ICC細胞)が重要な役割を果たすと思われているが、その実態はよくわかっていない。本研究では腸収縮オーガノイドという新規の解析モデルを開発し、ICC細胞によるペースメーカーシグナルの分子実態に迫った。トリ胚後腸から調整した筋肉層由来の細胞を培養したところ、規則的な収縮を呈する特徴的な細胞集塊の形成が認められ、これを「腸収縮オーガノイド」と名付けた。そこでは、ICC細胞と平滑筋細胞間の特徴的な相互作用が認められるなど、新規モデルとしての有用性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腸の蠕動運動は、食べた物の消化や吸収にとって不可欠な生理機能である。また多くの腸関連疾患では、蠕動不全を伴うことが知られている。しかしながら、蠕動運動を支える細胞機能のしくみはよくわかっていない。その理由として、ペースメーカーICC細胞と平滑筋との相互作用を解析する手立てが限定的であったことが挙げられる。本研究で確立した新規モデル「腸収縮オーガノイド」では、特にICC細胞の機能を高解像度で解析できることから、蠕動運動研究にとって有効な解析系を提供できたことの意義は高い。蠕動不全を伴う腸疾患の治療開発に向けて新たな道を提供できた可能性がある。
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