研究課題/領域番号 |
20K21429
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
坂本 竜哉 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (10294480)
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研究分担者 |
濱田 麻友子 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (40378584)
坂本 浩隆 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (20363971)
前嶋 翔 岡山大学, 自然科学学域, 特任助教 (10773286)
片山 侑駿 岡山大学, 自然科学学域, 特任助教 (00837601)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 進化 / ステロイドホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
後口動物の中で最も単純な体制の珍無腸動物門が新設された。そのムチョウウズムシにおいて、副腎皮質ホルモン/プロゲステロン/アンドロゲン受容体の共通祖先とエストロゲン受容体を発見した。これこそ祖先型と思われる。まず、各受容体のアゴニスト、アンタゴニストを、既存のものから特定する。受容体の発現様式から機能を推定し、このリガンドの投与や受容体遺伝子ノックダウンの影響を見出す。走光性、塩分耐性、生殖にフォーカスする。各標的遺伝子も同定する。そして、本系の機能的原点~普遍的な機能を考察する。細胞外液を獲得した本動物のステロイド系は、核内受容体を介す内分泌系の転写因子からの分化かもしれず、新概念の提唱となろう。
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研究成果の概要 |
ステロイド系の原点と思われる珍無腸動物の本系とその機能に、ムチョウウズムシを用いて挑んだ。まず、ERとSRのcDNAを配列から同定した。SRは、既存のアゴニスト、アンタゴニストが作用する可能性は低いが、ムチョウウズムシからの脂質の粗抽出画分にリガンド活性が検出された。すなわち、新奇の祖先型リガンドが存在する可能性が示された。このリガンドの基となるコレステロールを本種も持つが、合成に必要な遺伝子の欠損も予備的にみている。無腸ウズムシでは栄養と同様、共生藻により供給されているのかもしれない。SR、ERは、生殖腺、平衡胞などで発現し、明暗周期や温度の変化/成熟にともない異なった動態を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
非モデル生物の遺伝子解読が行われているが、祖先分子~機能的原点への着目は少ない。珍無腸動物は原始左右相称動物で、統合された機能とその制御分子が出現したともいえる。単純な体制の祖先型の解明は、普遍的機能に繋がろう。生殖制御が普遍的とされれば、多様な有用動物の養殖や環境ホルモン検出系への応用等も期待される。行動制御となれば、本能行動の内分泌制御の基礎になりうる。また、珍無腸動物の“細胞外液”の獲得が、転写因子からの核内受容体を介す内分泌系の分化を促したともいえる。生体制御全般に新概念を提唱しよう。 ムチョウウズムシは飼育・解析が簡便で新モデルに期待できる。適応生物学、生殖生物学など幅広く貢献できる。
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