研究課題/領域番号 |
20K21449
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
風間 裕介 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80442945)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 遺伝子量補正 / シロイヌナズナ / RNAseq / ゲノム / 重イオンビーム / 欠失 / RNA-seq / RNA-Seq |
研究開始時の研究の概要 |
植物ゲノムは、遺伝子のコピー数の減少に対し、発現量を上昇させることで元の転写産物の量を保つ即時遺伝子量補正という機能をもつことを明らかにする。遺伝子量補正とは、主に動物の性染色体で知られる現象であり、遺伝子の発現量が雄(♂)と雌(♀)との間で同レベルに調節される機構のことである。申請者らは、ヒロハノマンテマという植物においてY染色体の一部が突然欠失した場合、X染色体が即座に遺伝子量補正を行うことを発見した。この現象が植物ゲノム一般に起こるのではないかという仮説のもと、本研究では、申請者の保有するシロイヌナズナの巨大欠失変異変異体群を用いて、遺伝子発現量の変動とクロマチン動態の変化を調査する。
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研究成果の概要 |
遺伝子量補正とは、主に動物の性染色体で知られる現象であり、遺伝子の発現量が雄(♂)と雌(♀)との間で同レベルに調節される機構のことである。研究代表者らは、高等植物ヒロハノマンテマのX染色体が突然のY染色体欠失に対応して遺伝子量補正を行うことを発見した。代表者は、これは性染色体に限られた現象ではなく植物一般に見られる現象ではないかと考えた。そこで、シロイヌナズナの常染色体において、遺伝子のコピー数が半数になった場合にも遺伝子量補正が生じるかを調査した。その結果、大多数の遺伝子の発現量は野生型と比較して半減しており、シロイヌナズナの常染色体では即時遺伝子量補正は起きないことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
シロイヌナズナの染色体を倍数化したり異数化させた場合には、遺伝子の発現量が異なる例が報告されており、倍数化した個体は表現型も大きく異なる。これに対し、ヘテロの欠失についての知見はなかった。本研究では、ヘテロの欠失が起きた場合にそこに存在する遺伝子の発現量がおおよそ半減し、表現型にも影響が現れることを明確に示した。中には、ヘテロ欠失をもつと野生型よりも生重量が多くなる個体も見られた。これらの結果は、ヘテロの欠失も育種上有用であることを示す。ヘテロの欠失は重イオンビーム照射において頻繁に誘発されるため、今後の有効利用が期待される。
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