研究課題/領域番号 |
20K21456
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
林 悠 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 客員教授 (40525812)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 睡眠 / 毛細血管 / 脳血流 / 大脳皮質 / 血流 / マウス / うつ病 / リンパ |
研究開始時の研究の概要 |
レム睡眠(夢をよく見る睡眠)の役割はよく分かっていない。これまでの研究の多くは、神経活動やシナプス可塑性など、神経細胞に注目したものであった。本研究では、脳の脈管系に注目した独自のアプローチから、レム睡眠の全く新しい作用の発見に挑む。私たちはこれまでに、睡眠中の大脳毛細管の赤血球の動きを直接観察することに成功した。本研究ではこの技術を活かし、レム睡眠の脳血流の変動とメカニズム、さらには血管以外の脈管系の機能に及ぼす作用の解明に挑む。
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研究成果の概要 |
レム睡眠(急速眼球運動睡眠)の役割はよく分かっていない。本研究では、脳の脈管系に注目したアプローチから、レム睡眠の未知の作用の発見に挑んだ。睡眠中のマウスの脳内微小環境を観察する技術を確立したことで、レム睡眠中に大脳皮質の毛細血管の血流が、様々な領域において覚醒時の約2倍にも上昇すること、そして、この血流上昇にはアデノシン受容体A2Aが必要であることを見出した。さらに、特定の疾患のマウスモデルではこの血流上昇が大きく損なわれることも見出した。また、レム睡眠中に起こる血流上昇について、老廃物除去に重要な役割を担う可能性を検証するための実験系を確立した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳の毛細血管血流は自動調節の機構により安定的なレベルに維持されると考えられているが、我々の研究から、レム睡眠中は他の睡眠覚醒状態とは大きく異なることが判明した。神経細胞の平均発火頻度は覚醒時とレム睡眠とで同程度であることから、neurovascular couplingとは異なる何らかの機構が働くと考えられる。レム睡眠の異常は様々な精神・神経疾患で見られる。本研究成果は、レム睡眠の異常がこうした疾患の悪化に寄与する可能性をも示唆する。従って、異常なレム睡眠を補正する治療は睡眠障害のみならず、精神神経疾患の予防治療の観点からも重要であると考えられ、そうした視点をもたらした点において有意義である。
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