研究課題/領域番号 |
20K21460
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
上野 将紀 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40435631)
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研究分担者 |
倉部 美起 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30635579)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 脳脊髄液接触ニューロン / 脳脊髄液 / 神経細胞 / 脊髄 / 運動 / 歩行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脳脊髄液に接する未知の細胞である脳脊髄液接触ニューロンの実体と機能を明らかにすることを目的とする。この細胞は、脳脊髄液と接し広く分布することから、脳内外の生体情報を有する脳脊髄液の情報を探知し、中枢神経回路内へ伝達する重要な細胞群であることが想定される。しかし、その機能や実体は未解明のままである。本研究では、本ニューロンを標識し操作する方法を開発することで、構造と回路網、機能の解明に挑む。生体-中枢神経をつなぐ新たな細胞・生体情報システムの理解へつながると期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、中心管周囲で脳脊髄液に接する未知の細胞、脳脊髄液接触ニューロンの構造と接続、機能の解明を目的とした。まずマウス脳室内のAAV投与により、同ニューロンの特異的な標識法を見出した。本手法と組織学的解析、透明化、1細胞標識、3次元電子顕微鏡、電気生理学的解析を組合わせ、同ニューロンは軸索を腹索、吻側、中心管周囲へ伸ばし、吻側の同ニューロンと接続することを見出した。また体幹筋の運動ニューロンおよび運動性脊髄介在ニューロンとの接続も見出した。化学遺伝学的に活動を抑制すると、トレッドミルでの走行異常が認められた。本成果から、脳脊髄液接触ニューロンの脊髄内回路網と歩行運動への寄与を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳脊髄液接触ニューロン(CSF-cNs)は、脊髄の中心管直下に整列し樹状突起を脳脊髄液へ接する奇妙な細胞として100年近く前に発見された。脳脊髄液の情報を探知し、中枢神経内へ伝達する細胞群であると想定されたが、特に哺乳類において、その機能は長らく不明のままであった。本研究では、CSF-cNsの特異的な標識・操作法を独自に見出したことで、CSF-cNsのもつ細胞構造と脊髄内の接続様式、さらに歩行運動に関わる機能をはじめて明らかにした。本法を用いたCSF-cNsの実体解明は、生体-脳脊髄液-中枢神経をつなぐ新たな情報伝達システムの理解へつながると期待される。
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