研究課題/領域番号 |
20K21465
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田中 潤也 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70217040)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 行動科学 / 恋愛 / ラット / ミクログリア / アドレナリン受容体 / 前頭葉 / シナプス / 社会行動 / 行動実験 / FACS / 前頭前皮質 / cFos / RNAseq / microglia / sexual communication / synaptic pruning / phagocytosis / prefrontal cortex |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、男女間の恋愛のモチベーションの脳科学的な背景を探るため、ラットを用いた行動実験を行い、オスに好かれないメスは、多動で社会性が低く、不安感が少ないこと、さらに、前頭葉ミクログリアの活性が低いことを見出してきた。本研究では、ミクログリアのシナプス貪食活性と神経細胞活動・行動との関連を明らかにし、ミクログリアに対する種々の薬理学的介入により、メスの恋愛行動を変化させることができることを示す。これによって、社会問題となっている結婚率の低下、晩婚化、人口減少などについて、何らかの提言ができるように研究を進める。
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研究成果の概要 |
Wistarラットを用いて、オスに好かれるメス、好かれないメスを行動学的に検出した。不安感が強く行動量が少ないメスが好まれることがわかった。前頭葉ミクログリアの活性を調べたところ、行動量の少ないメスではミクログリア活性が高く、より多くのシナプスを貪食していた。ミクログリアの活性を上昇させるβ2アゴニスト、クレンブテロールとミクログリア活性を抑制するβブロッカー、プロプラノロールを投与すると、前者ではオスに好かれるようになり、後者では好かれなくなった。これらの結果から、オスラットは行動が不活発なメスを好み、その背景にはミクログリアによるシナプス貪食の亢進があると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、先進国では世界的に出生率が減少している。特に、日本では出生率の低下の背景に恋愛率、結婚率の低下が指摘されている。今回の行動実験の結論は、不安感が強くおとなしいメスがオスに好かれるというものであった。特に、明暗箱試験で、巣に相当する暗室に長時間滞在するような行動をとるメスが好かれた。天敵が多数いる野生社会では、巣に長時間母親が滞在する方が子育てに有利であると考えられ、子孫を残す上で有利となるメスをオスが選ぶ傾向があるものと考えられた。人間社会において、女性の社会進出と出生率は反比例する傾向があるが、今回のラットによる実験結果を敷衍できるかどうかさらなる検討が必要である。
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