研究課題/領域番号 |
20K21468
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中林 孝和 東北大学, 薬学研究科, 教授 (30311195)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 液液相分離 / ラマンイメージング / 紫外共鳴ラマン散乱 / タンパク質 / 水 / 核酸 / 神経変性疾患 / 濃度定量 / 定量 / ペプチド / 四重らせん / FUS / ラマン分光 / 紫外ラマン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、液液相分離(LLPS)内のタンパク質の状態を調べる手法を提案する。LLPSは、細胞内においてタンパク質の濃度が非常に濃い状態(液滴)と薄い状態の二相の液体状態が生じる現象であり、神経変性疾患の発症と関係づけられている。本研究では、分子の振動を直接観測するラマン分光を用いれば、液滴内でのタンパク質の構造をその場で解析できること、液滴内の目的タンパク質以外の成分を同定できることを提案する。さらに、紫外光を励起光としてラマンスペクトルを測定し、芳香環を持つアミノ酸残基を選択的に観測することで、LLPSの形成に寄与するタンパク質間の分子間相互作用の直接検出を目指す。
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研究成果の概要 |
LLPSは生体高分子が高濃度で存在する液滴が生じる現象であり、様々な生理反応に関係することが指摘されている。しかし、液滴を単一液滴の状態でラベルフリー測定する適切な手法がなく、LLPSと生理現象との関係の詳細は不明であった。本研究では、ラベルフリーで分子の情報を得るラマン顕微鏡および紫外共鳴ラマン散乱が、LLPS研究の有力な手法になることを提案することができた。単一液滴内の生体高分子の濃度を高精度に定量できることを示し、周囲の環境変化に伴う濃度変化を検出することができた。また、紫外共鳴ラマン散乱から芳香族アミノ酸残基のラマンバンドを選択的に検出し、LLPSに伴うタンパク質の状態変化を検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
LLPSは神経変性疾患の発症と関係することが指摘されており、LLPSによって生じた液滴から発症を誘起するタンパク質の凝集物へ変化することが示されている。本研究では、液滴から凝集物への変化について、どのような濃度変化、構造変化を経て、タンパク質の凝集物が生成するのかをラベルフリーで検討できる手法を提案する。液滴は生体高分子間の弱い分子間相互作用によって生成しているために、蛍光分子でラベル化すると分子間相互作用が変化してしまい、液滴を適切に評価できなかった。本研究ではラベルフリーかつ単一液滴の状態で化学情報が得られる有力な手法となり、凝集物変化の詳細を明らかにできる可能性がある。
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