研究課題/領域番号 |
20K21493
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
|
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
中村 元直 岡山理科大学, 理学部, 教授 (40431762)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 苦味受容体 / GPCR / 皮膚細胞 / がん細胞 / 有害物質排出機構 / ヒトがん細胞 / 有害物排出促進 / ガン細胞 / 異物排泄 / 抗がん剤 / ABC-B1蛋白質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は細胞内GPCR情報伝達という新たな研究領域を提唱すると同時に、新規創薬への挑戦でもある。がん治療では、抗がん剤の頻回使用で耐性化が現れる問題が解決できる。即ち、抗がん剤を感受する苦味受容体を同定し、これのブロッカーを創製して抗がん剤と併用すれば、抗がん剤の細胞外排出は抑制できる。こうした考えはがん治療領域には全く無かった。一方、有害物浸入に起因する皮膚炎のケースでは、無害な苦味受容体賦活剤を創製し、これを炎症部位に塗布することで排除機構を作動させ、蓄積有害物の排除を促進することで皮膚炎悪化を回避する考えである。いずれにおいても苦味受容体を創薬標的とした点では全く前例のない研究である。
|
研究成果の概要 |
苦味受容体の発現をヒト皮膚細胞やがん細胞で認めた。この受容体は小胞体 に局在し、G12/13型と共役することを確認した。細胞内に苦味物質、あるいは抗がん剤が侵入した場合、この受容体で感知され、ABC-B1の活性化による排出機構の亢進で有害物を細胞外へ排除すると推察する。ちなみ に、皮膚細胞やがん細胞を苦味物質で刺激するとABC-B1の発現は上昇する。抗がん剤耐性との関連 を調べるため、苦味物質存在下で1カ月以上培養した乳がん細胞株MCF-7細胞を調整し、この細胞の抗がん剤耐性能を苦味物質に晒していない親株と比較した結果、長期曝露MCF-7細胞は親株と比較して有意な抗がん剤耐性を示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞内GPCRからの情報発信という新たなGPCR情報伝達の概念を立ち上げ、生体防御の観点からは苦味受容体を基軸とした新たな生体防御(有害物排除)機構を提唱する。また臨床への応用も期待できる。ガン治療時の抗ガン剤頻回投与で起こる耐性化は臨床的に大きな問題であるが、抗ガン剤を感受する苦味受容体の拮抗剤を創製すれば抗ガン剤耐性を回避できる。皮膚組織に侵入した有害物を苦味受容体が感受できず、排除低下で皮膚障害が起こるならば、苦味受容体の賦活剤による排除亢進で皮膚障害を抑制できる。本研究は,苦味受容体を創薬標的として捉えた点では全く前例のない研究である。
|