研究課題/領域番号 |
20K21506
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大野 伸彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (10432155)
|
研究分担者 |
黒尾 誠 自治医科大学, 医学部, 教授 (10716864)
原 徹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, ステーション長 (70238161)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
|
キーワード | 電子顕微鏡 / リン酸カルシウム / エネルギー分散型X線分析 / 光電子相関顕微鏡 / 3DSEM |
研究開始時の研究の概要 |
リン代謝異常に伴うリン酸カルシウム(CaPi)の沈着は、老化の加速と臓器機能低下につながる可能性がありますが、CaPiの微細構造レベルでの観察は困難で、組織内のCaPi形成過程や周囲組織への影響など、臓器障害の進行過程の多くが未だ不明です。本研究では電子顕微鏡による3次元微細構造解析とエネルギー分散型X線分析による元素マッピングを組み合わせ、生体内元素成分の立体的分布を正確にとらえる「高感度3次元構造-元素相関観察法」を開発し、この技術を生体内CaPi形成過程の観察に応用します。本研究は生体元素の新たなイメージング技術の確立と老化の臓器機能低下の全容解明に向けて挑戦します。
|
研究成果の概要 |
長期高リン食負荷マウスの腎組織を用いて試料作製法を検討し、リン酸カルシウム粒子(CaP)の組織内観察に適した方法を開発した。この過程で高圧凍結-凍結置換固定を用いることに加えて電子染色を低減し、走査型電子顕微鏡における高感度検出器を用いたイメージングを応用して、CaPを組織内に保ち、3次元解析にも応用可能と考えられる微細形態観察技術を確立した。蛍光プローブを用いた光電子相関顕微鏡観察も併用し、軽度なCaP形成を検出可能な手法を開発した。これらの技術を応用し、皮質髄質境界部の近位尿細管内部のCaPの形成、および粒子の成長過程におけるマグネシウムの関与の可能性を見出し、論文発表した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
リン代謝異常に伴うリン酸カルシウム粒子(CaP)の形成は、老化の加速と臓器機能低下につながる可能性が指摘されたが、CaPの微細構造レベルでの観察は困難で、組織内のCaPi形成過程や周囲組織への影響などの進行過程の大部分が不明であった。本研究では、技術開発によりCaPの初期形成過程を明らかにするとともに、マグネシウムがその生体内での形成に深く関わる可能性を明らかにした。本研究の成果は、走査型電子顕微鏡を用いた新たな形態イメージング技術を確立してCaPによる病態の理解のための今後の研究の基礎を築くとともに、CaPが関与する臓器障害の予防や改善に向けた介入方法の開発に貢献すると期待される。
|