研究課題/領域番号 |
20K21527
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
小椋 義俊 久留米大学, 医学部, 教授 (40363585)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 大腸菌 / 下痢症 / ゲノム / 疫学 / 病原因子 / 集団感染 |
研究開始時の研究の概要 |
集団下痢症事例において、複数の患者から同一血清型の大腸菌が分離され、他の病原体も不検出でありながら、分離された大腸菌から病原性大腸菌マーカー遺伝子が不検出となる事例が多数存在する。大腸菌は常在菌でもあるため、このような事例では、原因不明下痢症事例として処理されてしまう。このような大腸菌は、まだ知られていない全く新規の病原因子を保持する新型の下痢原性大腸菌である可能性がある。そこで、本研究では、このような事例の分離株を200株収集し、ヒト常在大腸菌との比較ゲノム解析により、新規病原因子候補を抽出し、その機能解析を行うことで、新型の下痢原性大腸菌の発見を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、4都道府県の衛生研究所で過去に発生した病原因子不明大腸菌が原因と疑われる集団下痢症事例の13件について調査した。これらの事例で分離された大腸菌149株について、ゲノム配列を決定し、血清型、シーケンスタイピング、系統解析などを行った結果、7事例において大腸菌が集団下痢症の原因菌であったと推察された。各事例の株は、異なる血清型に分類され、一部の株では既知の病原因子と高い相同性を示す遺伝子も検出されたが、ヒトへの病原機構は解明されておらず、さらなる検討が必要である。今後は、健康保菌者由来の常在大腸菌とのゲノム比較や多くの事例を用いたより大規模な解析が必要であると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
各都道府県では、年間数件から数十件程度、病原因子不明の大腸菌が原因と疑われる下痢症事例が発生している。集団発生で複数の患者から同一血清型の大腸菌が分離されるなど、原因菌として強く疑われる事例も少なくない。そのため、まだ知られていない新規の病原因子を保有する新型の病原性大腸菌が存在すると考えられる。原因菌の同定は、原因食材の特定や感染ルートの推定に必須であり、今後の感染防止対策にも重要な情報となる。本研究で得られる成果は、感染性下痢症の臨床検査や疫学調査などに大きく貢献できると期待される。
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