研究課題/領域番号 |
20K21534
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小林 哲郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (60624236)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 免疫記憶 / マダニ / 自然リンパ球 / アトピー性皮膚炎 / ILC2 / フタトゲチマダニ / 寄生虫 / エピジェネティックメモリー |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚外部寄生虫感染とアトピー性皮膚炎はともに2型免疫反応を主体とし、その臨床的、免疫学的類似点が古くから知られている。本研究ではクロマチンレベルの変化を介して2型自然リンパ球(ILC2)が長期に免疫記憶を保持する可能性に着目し、マダニ感染をモデルとし自然免疫系のエピジェネティックメモリーの概念を検証する。特にオープンクロマチン領域をゲノムワイドに、かつ細胞集団全体を一細胞レベルで解析できるscATAC-seqの技術を生かし、マダニ感染によってILC2に起こるクロマチン変化を検出し、いまだに十分なエビデンスの存在しない自然免疫記憶のメカニズムの一端を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は皮膚マダニ寄生における宿主免疫反応、特に2型免疫による反応の形成、免疫記憶の成立機構を理解することでアレルギーの病態機構解明に向けた新しい道筋を作ることを目的とした。マダニの2次寄生時においては好塩基球、好酸球および好中球の顕著な浸潤を認め、リンパ球欠損マウス、自然リンパ球欠損マウスのいずれでも免疫細胞浸潤がほとんど起こらず、免疫記憶の成立は獲得免疫系のリンパ球に依存的であることがわかった。ΔdblGATAマウスおよびIl33-/-マウスではマダニの2次寄生時に好中球の増加を認め、好酸球の欠損によってなんらかの抑制機構が失われ、好中球が増加した可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
マダニ抵抗性の免疫記憶の成立には獲得免疫が必須であることがわかり、自然免疫系のエピジェネティックな変化を基盤とした訓練免疫の関与を示す系の確立には至らなかった。自然免疫の記憶の成立機構の解明には新たなモデルの検討が必要であると考えられる。一方でマダニ寄生モデルは好塩基球や好酸球などの2型免疫細胞の顕著な浸潤を起こすことから皮膚における2型免疫反応の動態を解析する有用なモデルの一つとして新たな知見を得られる可能性がある。
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