研究課題/領域番号 |
20K21543
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
垣内 伸之 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90839721)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 原発性硬化性胆管炎 / 胆管がん / 体細胞変異 / 陽性選択 / クローン拡大 / 慢性炎症 / ドライバー変異 / クローン進化 / 遺伝子変異 / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
原発性硬化性胆管炎(PSC)は慢性胆管炎により肝不全に至る予後不良な疾患でしばしば胆管がんを合併し致死的となるが、PSCの病因・病態の詳細は未だ多くが不明である。最近、正常細胞のゲノムにはその細胞が曝された環境下で獲得した遺伝子変異が刻まれており、時にこれにより細胞は進化してその環境に適応し、細胞数を増加させる(ドライバー変異によるクローン拡大)ことが明らかになった。このような遺伝子変異の解析はがんの原因を特定するだけにとどまらず、慢性炎症性疾患の病態解明をも可能にする。本研究では、胆管上皮オルガノイドと胆管がんのゲノム解析を通じてPSCの病態および発がんメカニズムの解明を試みる。
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研究成果の概要 |
原発性硬化性胆管炎(primarysclerosingcholangitis;PSC)患者の胆汁および胆管から上皮オルガノイドを作製し、全ゲノム解析によりPSCおよび対照群の体細胞変異を解析した。また、PSC肝移植例の胆管をマルチサンプリングし、オルガノイド培養を用いて上皮を純化し全エクソン解析を行い、変異クローンの広がりを評価した。隣り合ったサンプルで共有される変異クローンの広がりを認め、ARID2やPIK3CAなどのがんドライバー変異を有するクローンが観察された。本研究により、上皮クローンの綿密な解析が可能となり、PSC病態および発癌に関連する可能性のある遺伝子変異を同定し得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、胆管オルガノイドをモデルとして、胆管上皮クローンの綿密な解析が可能であることが示された。発癌に関連する可能性のあるいくつかの遺伝子変異を同定するとともに、症例間の異種性から、複雑なPSCの病態が示唆された。本研究は、将来さらにPSC症例の解析を重ねることで、PSC病態や胆管発がんの解明に資すると考えられる。
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