研究課題/領域番号 |
20K21601
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
豊島 文子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (40397576)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 幹細胞 / メカノバイオロジー / 皮膚 / 加齢・老化 / 老化 / メカノセンサー / 肥満 / 弾性力 |
研究開始時の研究の概要 |
生体は、体の部位によって組織の硬さが異なる。同一の器官の中でも領域によって組織の硬さは異なり、例えば足裏の皮膚は、踵や足先は硬いが、土踏まずは柔らかい。このような組織の硬さの違いは、内部に存在する細胞のダイナミクスや組織の新陳代謝の違いに反映されると予想されるが、その実態は不明である。最近我々は、新陳代謝の高い体表領域では、表皮幹細胞が高い増殖能を維持していることを見出だした。本研究では、真皮の硬さの違いが、メカノセンサーを介して表皮幹細胞の増殖・分化を制御し、組織の新陳代謝を左右する可能性を検証し、組織の硬さと新陳代謝の関連の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、皮膚のかたさが表皮幹細胞の形質におよぼす影響と皮膚老化との関連の解明を目的とした。マウス足底部皮膚をモデルとして、皮膚のかたさを測定した結果、加齢に伴い真皮が硬くなることが分った。またメカノセンサーPiezo1がかたさに依存して活性化し、長期カルシウムパルスが発生することにより、表皮幹細胞の分化とヘミデスモソームの減弱化が誘導されることが明らかとなった。加齢に伴う真皮の硬化は体表血管の退縮が原因であり、体表血管を増強したマウスでは、真皮の硬化や表皮幹細胞の老化形質が抑制された。また、加齢皮膚では真皮線維芽細胞から炎症性タンパク質Ptx3が分泌され、血管退縮が誘導されることが分った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
表皮幹細胞の老化は、酸化ストレスによるDNAダメージなどの細胞内要因により誘導されることが知られているが、幹細胞を取り巻く微小環境との因果関係については不明であった。本研究では、老化にともなう体表血管の退縮が真皮の硬化を誘導し、かたさ依存的に表皮幹細胞のメカノセンサーが過剰に活性化することで老化形質が誘発されることを明らかにした。また、体表血管の退縮を引き起こす分泌因子としてPtx3を同定し、幹細胞微小環境での生化学シグナルと力学シグナルの協働による皮膚老化機構を提唱した。本成果は、皮膚のアインチエイジング技術開発の新たなシーズを提示するものである。
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