研究課題/領域番号 |
20K21615
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉田 昌彦 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (80333532)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | HLA / リポペプチド / 感染防御 / 自己免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
アカゲザルエイズモデルの解析から、ウイルスが産生するリポペプチド(脂質が結合したウイルスタンパク質の断片)を標的とした新しい免疫応答の存在が明らかとなっている。本研究では、ヒトにおいて同等の免疫応答が存在することを証明し、その分子機構を解明する。またヒトにおいてはウイルス感染に伴って自己免疫病態が誘発されることがある。リポペプチド免疫の暴走がその誘引になるのではないかという仮説を立て、その検証を行う。
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研究成果の概要 |
免疫応答の主要な標的はペプチドであると考えられている。一方研究代表者は、アカゲザルエイズモデルの詳細な解析をもとに、脂質修飾を受けたウイルスタンパク質の断片すなわちリポペプチドが細胞傷害性T細胞の標的となることを見出し、この免疫応答の起点となるアカゲザルリポペプチド提示分子を同定した。しかし、ヒトにおけるリポペプチド免疫応答の存在や分子機構は不明であった。本研究課題において、リポペプチドを結合するHLAクラス1分子HLA-A*24:02を同定し、そのX線結晶構造の解明した。さらに個体レベルでの免疫解析を目途として、HLA-A*24:02を発現した遺伝子改変マウスを樹立した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本人が持つHLAタイプのうち、保有率が高いHLA-A*24:02がペプチドだけでなくリポペプチドを結合することを明らかにし、その分子構造基盤を解明した。さらにHLA-A*24:02を発現した遺伝子改変マウスの樹立に成功し、今後のリポペプチド特異的T細胞応答や新たなリポペプチドワクチン開発に有用な小動物モデルを確立した。ウイルスタンパク質の脂質修飾は病原性と深く関わっており、この化学反応を検知する「リポペプチド免疫」の理解がさらに進めば、ウイルス感染制御に向けた新たな戦略が構築できる。また「リポペプチド免疫」を切り口としたヒト自己免疫病の理解と制御にも貢献する可能性がある。
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