研究課題/領域番号 |
20K21634
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小薗 真吾 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40706850)
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研究分担者 |
進藤 幸治 九州大学, 大学病院, 助教 (00788432)
大内田 研宙 九州大学, 大学病院, 講師 (20452708)
久保 真 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60403961)
安井 隆晴 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60611283)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 膵癌 / 腸内細菌叢 / 膵癌肝転移 / 癌微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では膵癌細胞によるケミカルメディエーター分泌や膵癌発症に伴う膵内外分泌機能の変化が宿主の腸内細菌叢に及ぼす影響を解析し、膵癌が自己の進展のため腸内細菌叢の改変に積極的に関与しているかどうかを明らかにする。膵癌マウスモデルを用いて、膵癌による腸内細菌叢変化を次世代シーケンサーによるメタゲノム解析で捉え、vitro, vivoの実験によりメカニズムを解明する。特に腸内細菌叢が膵癌の肝転移成立に果たす役割を解析する。本研究で癌が腸内細菌叢を改変するメカニズムが明らかになれば、癌患者や術後患者の治療方針や栄養療法を見直す契機になり、これまでの癌治療のパラダイムを大きく変える可能性がある。
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研究成果の概要 |
膵癌自然発生マウス由来の膵癌細胞株をマウスへ同所移植し、糞便の菌叢解析を行った。担癌マウスの腸内細菌叢はプロバイオティクスが減少し、癌の進展に影響を及ぼす細菌(細菌X)が増加していた。ヒトおよびマウスの腫瘍内には細菌の構成成分が存在しており、腫瘍内細菌叢が癌のbiologyに影響を与えている可能性がある。 担癌マウスの腸内細菌で同定した細菌Xと膵癌細胞株を直接共培養すると、特定のサイトカイン産生が促進され、癌の遊走能が亢進していた。In vivoにおいても膵癌細胞皮下注モデルに細菌Xを局注すると、癌の進展が促進され、膵癌が腸内細菌叢を改変し、癌の進展に影響を及ぼしていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの癌研究における細菌叢の役割は“腸内細菌叢の変化が癌の進展を促進する”という一方通行の報告のみであり、“癌が主導して、自己の進展を促進する”との視点はなかった。膵癌が腸内細菌叢を改変し、自己の進展を促進させているという仮説に基づき、そのメカニズムを探る本研究は非常に特色のある研究である。 細菌叢が膵癌微小環境に与える影響を評価するにあたり、当研究室で保有する膵癌自然発生マウスモデルを利用することで、より実生体に近い癌微小環境を再現した研究が可能であり、膵癌オルガノイドや膵癌自然発生マウスを基盤に細菌叢が癌微小環境に与える影響を評価するシステムを構築できれば、飛躍的な技術的革新となる。
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