研究課題/領域番号 |
20K21635
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60347466)
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研究分担者 |
中川 貴之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30303845)
大橋 憲太郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50332953)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 自然免疫 / 炎症性ミトコンドリア障害 / 痛覚過敏 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリアは正常な神経活動を維持するために重要な細胞内小器官である。ミトコンドリア機能が低下すると、Nod like receptor (NLR)を介して細胞内免疫反応が進行し、慢性疾患を引き起こす原因となる。われわれは、ミトコンドリア機能の低下が糖尿病性神経障害性疼痛の発症に関与すること、慢性痛モデルにおいてNLRの活性化が認められることを明らかにした。本研究では、ミトコンドリア機能の低下が細胞内免疫を活性化して慢性痛が生じる可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、知覚神経におけるミトコンドリア機能の低下がパターン認識受容体Nod like receptor (NLR)を介して自然免疫を活性化し、正常な痛覚伝達システムを破綻させることで慢性痛を引き起こすという仮説を検証する。 これまでの研究において、マウス末梢神経損傷モデルにおけるミトコンドリアDNAの測定やミトコンドリアタンパクの定量を行ってミトコンドリア機能を評価したところ、痛覚過敏発症に一致してミトコンドリア機能の低下が認められた。また、マウス術後痛モデルを作成し、NLRが活性化することで合成されるcleaved IL-1beta (cIL-1b)の発現を免疫組織化学法によって同定したところ、知覚神経におけるcIL-1bの発現が上昇することが明らかとなった。 今年度は、マウス末梢神経損傷モデルにおけるcIL-1bの発現を確認した。マウス神経損傷モデルを作成し、後根神経節におけるcIL1bの発現を確認したところ、痛覚過敏の発現と一致して、後根神経節におけるcIL-1bの発現が増加した。 さらに、cIL-1bの合成にかかわるカスパーゼ1の阻害剤の鎮痛効果について術後痛モデルと神経損傷モデルを用いて検討し、カスパーゼ1阻害剤の投与により痛覚過敏が抑制されることを明らかにした。また、cIL1bの受容体であるIL1受容体の発現を後根神経節において検討し、DRGニューロンにIL1受容体が発現していることを明らかにした。 また、足底切開刺激による軸索反射の程度を評価するため、切開周囲の皮膚血流を測定したところ、皮膚切開直後から血流が増加する事が明らかとなった。さらにカスパーゼ1阻害剤が皮膚血流増加を抑制したことから、cIL1bが軸索反射に関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の疼痛モデルにおいて、cIL1bが痛覚過敏の発現に一致して増加する事を明らかにし、cIL1bの合成に関わるカスパーゼ1阻害剤に鎮痛効果があることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
神経損傷モデルにおいて、ミトコンドリア機能の改善がcIL1bの発現を抑制するかどうかを検証し、慢性痛モデルにおけるミトコンドリア機能とcIL1b活性化の関連について検討する。
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