研究課題
挑戦的研究(萌芽)
申請者らは、正常では細胞膜でシグナルを出すKITが、KIT変異を持つがん細胞では、低ユビキチン化状態でエンドソームやゴルジ体に停留し下流分子を恒常的に活性化し、肺癌ではEGFRの変異体はエンドソームで活性化している事を明らかにした。しかし、それら変異体が本来集積される場所以外に集積しかつ分解されない分子機構や、その分解代謝を促進する場合、どの様な経路や分解機構で代謝されるかは不明である。本研究では、超解像三次元イメージングと生化学的解析を組み合わせ、その分子機構を解明し、変異タンパクの分解誘導による新規治療戦術の開発基盤を造る。
GISTの変異KITや肺癌の変異EGFRは、それぞれゴルジ体やエンドソームに停留し活性化している。本研究ではその停留分子機構を解明し、分解誘導による新規治療開発の可能性を探る。GISTの変異KITは、阻害剤A処理でゴルジ体からリソソームに移動し分解される。この際ユビキチン化も亢進する。一方、HSP90阻害剤を処理すると、プロテアソームでKIT分解がおこる。エンドソームに集積し活性化する変異EGFRでもHSP90阻害剤処理で分解が促進された。現在、これら阻害剤を処理した時の細胞内移動経路と処理機構を明らかにするためマルチカラー超解像三次元ライブイメージングで解析中である。
ドライバー遺伝子変異を持つがん細胞では、その遺伝子産物は、正常タンパク質とは異なる場所に集積し、分解を逃れ長期に増殖シグナルを出し、がん化を促進している。本研究で、GISTの変異KITのオルガネラ停留には、特定の分子が関与していること、この分子を阻害すると変異KITは選択的に本来KITが分解を受けるリソソームに輸送され分解されることが解った。一方、タンパク質の3次元構造を変えるHSP90阻害剤処理では、異常タンパク質の細胞内処理機構が働き、プロテアソームでキナーゼの分解が進むことが解った。前者は腫瘍特異的で変異キナーゼに選択的で、今後、新しい標的治療薬開発の候補となり得る。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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