研究課題/領域番号 |
20K21640
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 教授 (10447162)
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研究分担者 |
大沢 伸一郎 東北大学, 大学病院, 助教 (00813693)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 特任准教授 (80536748)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 衝撃波 / 爆傷 / 外傷性脳損傷 / 脳神経外科 / 災害医療 / 外傷性脳損傷(bTBI) |
研究開始時の研究の概要 |
爆風脳損傷は、衝撃波を先行、かつ主成分とする爆風による脳損傷である。通常の頭部外傷と異なり、目に見えない外力によるため損傷の自覚がないことも多く、機序、予防については解明されていない点が多い。本研究では、閉鎖空間内での衝撃波の体内伝播動態を明らかにし、爆風脳損傷を防止する基礎的知見を得ることである。期間内に、衝撃波の閉鎖空間内の反射・干渉により生体内に伝播する衝撃波を空間構造と材質で損傷閾値以下に減衰することについて非臨床概念実証を確立する。従来は個別防御の観点から取り組みが行われていたが、本研究では、集団防御への取組へと着眼点を移すものである。
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研究実績の概要 |
爆風脳損傷は、衝撃波を先行、かつ主成分とする爆風による脳損傷で、目に見えない外力によるため、機序、予防については解明されていない点が多い。東北大学学際衝撃波研究拠点は1970年以降世界的に拠点として衝撃波の医療応用、さらには衝撃波の学際研究を推進してきた。本研究の目的は、第一に閉鎖空間内で爆風損傷の先行、かつ主要成分を占める衝撃波の体内伝播動態を明らかにすること、第二に衝撃波による外傷性脳損傷を防止する技術開発に向け基礎的知見を得ることである。具体的には閉鎖空間内の反射・干渉により生体内に伝播する衝撃波を空間構造と材質で損傷閾値以下に減衰することに関して非臨床(動物実験)概念実証を確立することである。 3年目の本年は、昨年度東北大学流体科学研究所で実施してきた模擬モデル(不織布干渉による衝撃波圧力低減効果)実験(単純閉鎖空間内の衝撃波伝播動態解析および理論解析を継続するとともに、模擬モデル実験では、単純閉鎖空間内で発生する衝撃波による生体内伝播衝撃波の減弱効果を材質、壁面計状の変化による効果を可視化、圧測定および理論解析、複雑閉鎖空間内の衝撃波伝播動態・模擬生体内衝撃波伝播動態解析を実施した。その結果、難燃性不織布との干渉により、衝撃波伝播速度が低下し、ピーク過剰圧が低下する点、不織布を重ねて干渉(作用)する長さが増すことで、ピーク過剰圧がより低下するが、伝播速度はほぼ変化しない点、顕著な反射波は発生しない点が明らかになった。次年度理論解析も推進し、衝撃波の体内伝播動態の解明と外傷性脳損傷を防止手段の構築をすすめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模擬モデル実験では、単純閉鎖空間内で発生する衝撃波による生体内伝播衝撃波の減弱効果を材質、壁面計状の変化による効果を可視化、圧測定および理論解析で実施、難燃性不織布という安価、かつ、今回検討している爆風損傷の一次損傷だけでなく、二次損傷(穿通性外傷)、四次損傷(火炎による熱傷や化学損傷)にも有用な材質を用いて複雑閉鎖空間内の衝撃波伝播動態・模擬生体内衝撃波伝播動態解析(可視化、圧測定)を実施しできた点、また、衝撃波の体内伝播動態の解明と外傷性脳損傷を防止手段の構築において重要な知見(インピーダンスミスマッチの3次元構築の重要性)を得ることができた点から当初の計画どおり、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
3年目の本年度も、模擬モデル実験としては、単純閉鎖空間内で発生する衝撃波による生体内伝播衝撃波の減弱効果を材質、壁面計状の変化による効果を可視化、圧測定および理論解析で行うとともに、複雑閉鎖空間内の衝撃波伝播動態・模擬生体内衝撃波伝播動態解析(可視化、圧測定)および理論解析を東北大学流体科学研究所において、研究分担者の大谷清伸が中心となり実施する。また、非臨床試験では、単純閉鎖空間内で発生する衝撃波によるラット頭蓋内伝播衝撃波の減衰効果を材質、壁面計状変化による効果を、東北大学医学部動物実験施設で、研究分担者の大沢伸一郎と研究代表者の中川敦寛が中心となり、実施する。コロナ禍の影響により、これまでオンラインのみで行っていた海外共同研究者との意見交換については現地での意見交換も検討する。
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