研究課題
挑戦的研究(萌芽)
膀胱癌は尿路上皮癌の中では最も死亡率が高く、前立腺癌に次いで増加していることから、その有効な診断および治療法の確立が求められている。我々は、脂肪酸伸長酵素ELOVL6による脂肪酸鎖長の制御が膀胱癌の発がんや悪性進展に関与する可能性を見出した。本研究では、ELOVL6が膀胱癌でどのように高発現し、脂肪酸代謝や細胞の増殖・転移能獲得においてどのような役割を果たしているか、その分子基盤を解明することを目的とする。
本研究では、膀胱がんにおける脂肪酸伸長酵素ELOVL6の役割を明らかにし、膀胱がんの新規治療戦略の開発に繋げることを目的とした。非癌部に比べて膀胱癌部ではELOVL6の発現は有意に増加した。膀胱癌では変異や融合によるFGFR3の恒常的活性化が知られているが、活性化FGFR3遺伝子変異を有するヒト膀胱癌細胞株RT112およびJ82におけるELOVL6のノックダウンは細胞増殖を抑制した。RNA-seq解析および脂質メタボローム解析から、ELOVL6の阻害は細胞外微小環境を変化させる可能性が示唆された。
多くのがんでは脂肪酸の新規合成が盛んであることから、この代謝経路ががん治療の新たな標的分子となる可能性が期待されている。本研究により、膀胱癌ではELOVL6の発現が亢進し、特に活性化FGFR3遺伝子変異を有する膀胱癌において細胞増殖能や腫瘍形成能に重要な役割を果たすこと、その分子機序として細胞外微小環境の変化が関与している可能性が示された。今後、さらに膀胱癌の増殖や悪性進展を促進する脂質分子種およびその作用機序を解明することにより、膀胱がんの病態の解明や新規治療法の開発が期待される。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 備考 (2件)
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