研究課題/領域番号 |
20K21648
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
脇坂 尚宏 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (70377414)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 免疫代謝 / 頭頸部癌 / 動物モデル / 免疫プロフィール / モデルマウス / 腫瘍免疫 / リンパ球 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、免疫担当細胞で代謝が促進すると機能が向上することが指摘されている。一方、癌 組織では抗腫瘍免疫の主役であるTリンパ球の解糖系代謝と抗腫瘍活性がともに低下してい ることが報告されている。本研究ではモデルマウスを作成して頭頸部癌の個々の患者のTリンパ球の代謝を解析し、その結果に基づいてTリンパ球の代謝を促進する薬剤を免疫療法と併用してその抗腫瘍効果を評価する。さらに、癌組織のリンパ流が最初に流入するセンチネルリンパ節のTリンパ球の代謝を促進する薬剤を選択し、リンパ節転移を抑制する効果も評価する。
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研究実績の概要 |
本年度は、中咽頭癌における免疫代謝状態を評価するためのツールとして、腫瘍免疫関連因子と代謝関連遺伝子の発現についてさらに解析を進めた。解析項目は、糖代謝・脂肪酸代謝・脂質代謝・ミトコンドリア代謝・TCA回路・活性酸素種、とした。その結果、前年の前転移ニッチ形成を促進する因子、高内皮細静脈などいわゆるホーミングを促進する因子等に加え、そのなかでも免疫細胞におけるミトコンドリア代謝に関わる因子が転移の有無とよく相関することが判明した。特に扁桃組織ではnaive B cellの多寡が転移に関与することが解明され、ミトコンドリアのどの因子がnaive B cellの動員に関与しているか現在、解明を進めている。これらの成果は、腫瘍免疫に関わる細胞障害性Tリンパ球・Bリンパ球などの活性を推定するための因子となり得ると考えられた。今後の免疫代謝状態やその変化を経時的に評価するための有用な情報にさらに厚みが得られたと考えている。また、腫瘍組織内の腫瘍免疫状態を簡便に推定し、腫瘍免疫を活性化するための薬剤を推定するための手がかりが得られたと考えている。 一方、本年も当初計画していたPBMC-PDXマウスの作成は達成できなかった。コロナ禍の影響もあり、動物実験系については十分な作業を行うことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
腫瘍免疫ならびに免疫代謝に関わる因子の解析では十分な成果が得られつつある一方で、動物実験ではコロナ禍の影響もあり、十分な作業を行えなかった。課題である、PBMC-PDXモデルマウスの作成にまでは至らず、研究計画よりも進捗は遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に達成できなかったPBMC-PDXマウスの作成に改めて取り組む。 前年度に引き続き、免疫代謝に関わる解析を進めていく。動物実験と並行して、同定した免疫代謝因子から代謝経路のさらなる詳細を解析して、腫瘍免疫を促進するための薬剤を絞り込んだうえでその効果を評価する。
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