研究課題/領域番号 |
20K21659
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
|
研究分担者 |
谷 里奈 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20783872)
岸 真五 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (50790341)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 薬剤耐性 / 幹細胞性 / ミトトランスファー / NFkBシグナル / HKGB1 / ミトコンドリア / ミトコンドリアトランスファー / HMGB1 / がん細胞 / ミトコンドリア移行 / 化学療法 / 骨肉腫 / 間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、抗がん剤処理を受けた骨肉腫細胞が間葉系幹細胞からミトコンドリア移行を受けることで、細胞死から免れ薬剤耐性を獲得するという現象の機序を解明し、その阻害法を発見することによりより有効な骨肉腫治療を可能にする。骨肉腫は、化学療法や分子標的治療の選択肢は未だに乏しく、手術的病変摘出への根治性の高い要求から機能温存に高いハードルが存在する。化学療法の奏効性を高めることは、骨肉腫に罹患する多くの若年者の身体機能の保全を可能にし、将来の社会的活動を担保することにつながると期待される。
|
研究実績の概要 |
昨年度の検討により、酸化型HMGB1がMSCのミトトランファー活性を高め、ミトトランスファーを受けたCRCの幹細胞性を高め、増殖促進、薬剤耐性を亢進させることが明らかになった。本年度は、酸化型HMGB1の細胞内シグナル経路を検討した。酸化型HMGB1はRAGEを受容体とし、NFkBシグナル経路を活性化した。NFkB阻害剤により酸化型HMGB1によるミトトランスファーは抑制され、NFkBがMSCにおけるミトトランスファーを誘導していることが明らかになった。さらに、ミトトランスファー実行タンパクであるMiro1のプロモーター領域には2か所にNFkBコンセンサスが存在し、ChIPアッセイによりこれらのコンセンサスがNFkBによるMiro1発現亢進に関与することが明らかになった。これらのことから、NFkB阻害剤を用いることでミトトランスファーによる薬剤耐性を解除することが可能であると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、MSCからがん細胞へのミトトランスファーが癌細胞の幹細胞性を亢進させることで薬剤耐性を獲得させることを明らかにした。さらに、ミトトランスファーを誘導するリガンドとして酸化型HMGB1が関与すること、さらに、その細胞内シグナルとしてNFkBが関与することを明らかにした。これらのことから、ミトトランスファーを標的化する方策が示唆された。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、NFkB阻害剤を用いたミトトランスファーの阻害実験とがん細胞の幹細胞性を検討することにより、ミトトランスファー標的化ががん幹細胞の標的化につながることを解明して行く計画である。
|