研究課題/領域番号 |
20K21684
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
内藤 真理子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20244072)
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研究分担者 |
鵜飼 孝 長崎大学, 病院(歯学系), 教授 (20295091)
佐藤 啓子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (70410579)
近藤 好夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30581954)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 歯周病 / 病原性 / 9型分泌機構 / 9型分泌装機構 / 細菌叢 / 生体防御 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病患者の歯周細菌叢は、特定の分泌装置(Type IX Secretion System: T9SS)を持つ数種の細菌、特に Porphyromonas gingivalis の存在下で病的細菌叢に変化する。T9SSは、バクテロイデーテス門細菌の Tannerella forsythia, Prevotella intermedia 等の歯周病細菌にも保存され、病原性発現に関与していると考えられている。これらの菌種のT9SSからは病原因子を含む数十種類のタンパク質が分泌されている。T9SS を持つ複数の菌種を一度に制御し、混合感染症である歯周病菌叢を大きく変える可能性を見出す。
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研究成果の概要 |
歯周病原菌と同じく、バクテロイデーテス門に属する滑走能をもつ魚病細菌に存在する9型分泌装置(T9SS)の滑走運動、バイオフィルム形成に果たす役割を解析した。電子顕微鏡観察によりT9SS依存性に形成されるファイバー様構造物からなる細胞間マトリックスが重要であることを明らかにできた。また河川での冷水病罹患アユから未報告の原因菌の分離、同定に成功した。同定した病原菌群は滑走運動性を示し、ゲノム配列解析からT9SS遺伝子群とT9SS依存性に輸送される滑走に必須である接着分子等を保持していた。これらの成果はT9SS機能を抑制することで歯周病だけでなく多様な魚病の制御を行える可能性を示すものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々のグループが発見した9型分泌機構は歯周病だけでなく、冷水病などの魚病の病原菌も保有している。これらの菌でこの分泌機構は患部でのバイオフィルム形成と病原性に必須であると考えられている。しかしバイオフィルムの形成と拡張機序、微細構造は未解明であった。本研究はこれらを解明することで、本機構を標的にした創薬研究の足掛かりとなる成果を得た。また日本の河川で発生した冷水病の原因菌を複数菌種新たに分離同定できた。更にこれらの菌のゲノム解析から9型分泌機構が高度に保存されていることを明らかにした。歯周病だけでなく実際に蔓延している魚病における9型分泌機構の重要性を示すことができた。
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