研究課題/領域番号 |
20K21691
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 名誉教授 (90200998)
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研究分担者 |
伊藤 俊弘 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20271760)
神田 浩路 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70628718)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | アフリカ / 環境因子 / 生体影響 / サーベイランス / 大気汚染 / 水銀による土壌水質汚染 / 健康障害 / 感染症 / 生活習慣病 / 環境起因性健康障害 / サーベイランズ / アフリカ諸国 / アフリカ地域 / 疾病動向調査 / 環境起因性疾患 / 健康リスク情報収集システム / 情報収集システム / 健康情報 / 環境汚染物質 |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカ諸国の住民の健康課題の動向について情報収集するとともに、既存の疾病動向サーベイランスがある場合その実施状況や成果を把握する。 それらを基に、感染症情報のみならず、生活習慣病など高齢化に伴う疾患、気候変動に伴う疾患、環境汚染物質に起因する疾患など広い健康リスクをも一括して把握できる情報収集システムの構築を目指す。さらに数フィールドの現状視察により得られる現地の健康課題及びニーズと、健康リスク情報収集プロトタイプにより収集した情報とを比較し、有効性を検証して、アフリカ地域の健康課題の動向を把握可能な統一システムを構築しアフリカ地域全体に展開をはかることを目指す。
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研究実績の概要 |
申請者の所属機関が委託を受けて実施しているJICA研修に参加したアフリカ諸国の地域行政に携わる担当者の協力を得て、アフリカ諸国の住民の健康課題の動向および疾病動向を収集するサーベイランスシステムの有無やその内容について調査への協力を得る事を2020年度から始めた研究テーマである。 折しも2019年暮れに中国から始まった新型コロナウイルス感染症の発生を受けて国際間の移動制限が行われたために、2020、2021年度のアフリカ訪問は断念し、ネット検索等によってアフリカ諸国で実施されている感染症を中心とした疾病サーベイランスシステムについての情報収集を行った。ガーナ、リベリア、ナイジェリア、エチオピア、ケニア、ルワンダ、タンザニア、南アフリカなどについて情報が得て、感染症について病名ないし症状毎の発生数の報告がある事にとどまっており、他 の慢性疾患や環境変化に起因する健康障害の発生の検出や推移の変化を把握する体制が出来ていないことが分かった。 2022年に新型コロナウイルス感染症がやや下火となった事から、2023年2月に、タンザニア、ケニア、セネガルを訪問し、タンザニアでの大気汚染や廃棄物の無処理投棄による多種化学物質による土壌水質汚染、ケニアでの零細金鉱山での水銀アマルガム精錬による金属水銀汚染、セネガルでの大気汚染、漁民に発生した原因不明の皮膚障害事例の発生について情報収集した。タンザニアでは環境省が全国的な調査検討中であることがわかり、今後の全国レベルでの測定についての協力の要請があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020、2021年のインタネットを介した調査により、各国とも感染症についての発生状況を収集するシステムはある程度確立しているものの、環境要因に起因する健康障害の発生をサーベイランスするシステムや環境汚染化学物質等のモニタリングシステムの整備が遅れている事がわかっている。 2022年に新型コロナウイルス感染症がやや下火となった事から、2023年2月に、タンザニア、ケニア、セネガルを訪問した。それぞれの各国の過去研修員からの情報により、環境化学物質による環境汚染の情報が得られたため、選定した3か国である。タンザニアにおいては大気汚染(木材製品産地での廃材等の燃焼や都会部の自動車排ガス由来)や廃棄物の無処理投棄による多種化学物質による土壌水質汚染、ケニアでの零細金鉱山での水銀アマルガム精錬による金属水銀汚染、セネガルでの自動車排ガスおよび土壌粉塵による大気汚染、漁民に発生した原因不明の皮膚障害事例の発生など現場を訪問し、現地の専門家から情報収集を行った。 タンザニアでは環境省が全国的な調査の必要性を考えている状況にあり、今後の全国レベルでの測定についての協力の要請があった。
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今後の研究の推進方策 |
過去の日本の事例について考察するに、水俣病、イタイイタイ病などが環境モニタリングや健康障害のサーベイランスにより発見されたものでなく、一部の研究者の研究により時間をかけて判明したものである。 開発途上国等では、環境要因に起因する健康障害の発生を早期に見出し原因究明をする体制も人材も不十分であることが明らかとなった。過去に公害事例等の経験を持つ日本など先進国が体制整備と人材育成の果たすべき役割があると認識された。 2023年まで研究延長が認められたことから、他数か国を訪問し、環境因子に由来する健康障害の事例を収集するとともに、日本での環境汚染いよる健康障害が検知から原因究明、さらには原状回復と再発防止につなげる施策にいたるまでの流れをまとめ、アフリカ等の開発途上国の公衆衛生・環境衛生の向上に資する成果を上げたい。
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