研究課題/領域番号 |
20K21713
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
田中 経彦 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20144925)
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研究分担者 |
山城 安啓 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50243671)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 毛髪ケラチン / アミノ酸多型 / 質量分析計 / 個人識別 / 質量分析 / 毛髪 / ケラチン / 変異 |
研究開始時の研究の概要 |
血痕などから得たDNAとの一致性を確かめる被疑者DNAは、抜去毛髪の毛根から抽出されている。被疑者から自然に脱落した毛髪は毛根がないので、事実上有用なDNA情報は得られない。一方、毛髪はタンパク質ケラチン17種類で構成されており、ペプチドに分解後、質量分析計によりアミノ酸変異候補を検出できる。これにより現場で採取された毛髪と、被害者ないし被疑者の毛髪の異同を推定する方法について、実用に十分なアミノ酸配列の多様性が日本人ケラチンに存在するのか検討する。
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研究実績の概要 |
毛根以外の毛幹部のケラチンをトリプシン消化して得たペプチドの質量分析で検出した多型により、毛髪の異同を解析できることが確認された。日本人1家族(両親とその子1名)、その家族と非血縁者2名の毛髪1㎝(毛幹部)をトリプシン消化して得たケラチン由来のペプチドから、液体クロマトグラフィ質量分析により、17種ある毛髪ケラチンの類似配列を考慮しつつ8種のケラチンから40種程度のアミノ酸変異候補を検出した。検証のためケラチン各部位のDNA塩基配列を解析した。ケラチンK33Bの多型A215PヘテロがDNA解析でも検出された。この多型は、質量分析では、家族(両親、子供1名)では全員ヘテロで検出されたが、非血縁者2名ではAのみであった。公開データベースEnsemblによれば、このAlleleは、中国タイ族,華北人,ベトナム人が2%,華南人が3%,日本人(106人)では16%に上る。他方アフリカ、非フィン人系ヨーロッパ、中南米(インディオ)、ユダヤ系には存在しない。この多型は欧米の先行研究でも報告されていない。Ensemblにデータを公開していない韓国については不明である。他に質量分析で検出された5多型部位を含む4ペプチドに対応するDNAで、日本人106人データを分類すると、標準配列どおり(46%)を含め13グループとなった。ゲノムDNAや血液型を利用できない状況の代替法として、個人識別は無理にしても毛髪の異同を識別するのに有用性があると言える。DNAケラチンのアミノ酸配列は、血漿たんぱく質や精漿たんぱく質と相同性がなく、これらがコンタミしても質量分析できる。他の多型候補は、DNA変異に基づかず、アーチファクト生成(カルバミル化によるアミノ基修飾、閉環反応、脱アミド反応)と考えられた。アーチファクトの生成を抑制する検討実験は、質量分析計トラブルでできなかった。
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