研究課題/領域番号 |
20K21716
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
辻 麻由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (60771780)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (30381916)
松原 孝明 大東文化大学, 法学部, 教授 (10407645)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 介護事故 / 有害事象 / Adverse event / 高齢者施設 / 介護事故報告書 / 損害賠償責任 / 介護老人保健施設 / 損害賠償 / 内容分析 / 判例 / 安全性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の高齢者施設は、介護労働力の高齢化及び人材不足の問題や、介護事故の訴訟が事業所のみならず職員個人へ賠償請求される現状がある。今後も介護事故の増加や想定外の重症事故発生が懸念される。 介護事故の本質をつくためには、介護過誤また過失ではない介護事故と判断された判例や事故報告書、実際の現場との整合性を図る必要があり、事故の種類や内容、責任問題、対応について実態解明が急がれる。 本課題では、日本および長崎県の介護現場で起きている介護事故について、判例や事故報告書、現場の声をもとに医療と福祉の専門的視点だけでなく、法学を含む学際的な観点で介護事故の類型化を行い、事故後の対応について実態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、長崎県内にある1市の介護事故報告書の解析結果をまとめ学術誌へ投稿した。 今回、高齢者介護施設(介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、認知症グループホーム、有料老人ホーム)で発生した介護事故報告書をもとに、介護事故(有害事象)の特徴や損害賠償責任につながる要因について明らかにした。介護事故(有害事象)の発生時間帯は、先行研究では職員の少ない早朝や夜間が多いことが報告されているが、本調査では、午前6時から午前11時59分が最も多く(34.0%,n=508)、次いで午後12時から午後5時59分(28.6%,n=428)といった比較的職員が充足しているであろう日中の時間帯での介護事故(有害事象)発生が多かったのが特徴である。これに関しては、入居者の特徴や施設内の環境など様々に今後調査が必要となってくる。また、介護事故の多くは転倒(72.6%,n=1,086)で、その他に原因不明の怪我(9.8%,n=147)、誤薬(3.9%,n=58)、誤嚥(1.9%,n=29)などがあり、先行研究と同様に圧倒的に転倒が多いことに関しては本調査も一致しており、転倒予防対策が今後も高齢者介護施設においては課題となってくる。 損害賠償責任につながる因子としては、時間帯や職員の介助中、打撲・創傷・骨折などの怪我などの因子が関連していることが明らかになった。 今後の調査では、介護事故発生後の対応や、施設管理体制についてさらなる調査が必要となることが課題となった。 当初予定していた介護老人保健施設以外の施設も含めた調査となったため、介入対象施設の実施可能性の検討が今後の調査では必要となる。対象施設のリクルートやフィールド調整、研究方法の検討を重ね、調査を次年度はすすめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2022年度も高齢者介護施設での現地調査が難しく、対面調査実施に向けた準備が進まなかった。しかし、現地調査を要さない二次分析に着手し、解析を随時追加して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本課題では、現在までに介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、認知症グループホーム、有料老人ホームといった高齢者施設から提出される介護事故報告書をもとに、介護事故(有害事象)の特徴や損害賠償責任に関わる因子を明らかにした。 今後は以下の研究を実施する予定である。 ①各施設単位での介護事故における解析の実施と公表 ②介護事故後の対応に関する調査実施に向け、研究対象施設での実施可能性について検討及び調査
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