研究課題/領域番号 |
20K21717
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)
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研究分担者 |
齋藤 俊行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (10170515)
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
右藤 友督 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10816680)
杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40443915)
大山 要 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (50437860)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 唾液 / 口腔機能低下症 / バイオマーカー / コホート研究 / メタボローム解析 / プロテオーム解析 / 咀嚼機能検査 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,口腔機能低下症(いわゆるオーラル・フレイル)が検査により診断可能となったが,多くの国民が簡便に受ける検査となることは難しく,検査結果のデータ統合も困難なことが予想される.また,検査後における口腔管理の判定指標が明らかでないという課題もあわせ持つ.本研究では研究期間を3年とし,咀嚼能率低下の有無で変動する唾液の代謝産物/蛋白質を探索・同定して新規検査法を開発する.その後,データを人工知能で機械学習させ,どの程度の口腔環境であれば同定バイオマーカーが検出されるかを患者層別化し,層別化されたグループごとに口腔管理の効果判定指標を導き出す.
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研究実績の概要 |
口腔の機能が低下するオーラル・フレイルは要介護への入り口であり,オーラル・フレイルに陥るとフレイルへの移行リスクや要介護認定リスクが有意に上昇する.しかしオーラル・フレイルは,適切に対応すれば健常へと回復する可逆的状態である可能性があり,オーラル・フレイルの早期発見や,発見後の適切な口腔管理法開発が急務である.そのような中で2018年,各種検査からオーラル・フレイルを「口腔機能低下症」と専門的に診断・管理する一連の診療行為が保険収載されたが,これら7検査中の4項目以上で専用機器が必要であり,高額の装置購入や検査の煩雑性を考えると,多くの国民が簡便に受ける検査となることは難しい.また,検査結果のデータ統合も困難なことが予想され,検査後における口腔管理の判定指標が明らかでないという課題もあわせ持つ.そこで今回我々の研究チームでは,当大学が継続的に展開してきた大規模コホート研究と唾液メタボローム解析に着目し,1)非侵襲的かつ簡便に採取できる唾液から口腔機能低下症の早期バイオマーカーを探索して先進的検査法を開発すること,ならびに,2)口腔機能低下症診断後における口腔管理の効果判定指標ガイドラインに対する基盤構築を行うことを本研究の目的とした. 当該年度は昨年度と一昨年度と同様に,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により離島への調査が制限されたため,研究対象者の調査場所を拡大し,大学病院の歯科外来を受診している患者を調査対象者に含め,検査と唾液の回収を行っている.2023年度からは,離島における健診が離島側で容認されたことから,離島健診で行われる予定の患者も含める予定となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来は離島の住民を調査対象とする計画であったが,新型コロナウイルス感染症の影響を受けにくい大学病院受診患者を調査対象に含めて口腔機能低下症の検査や唾液回収を行っている.また,次年度は離島住民に対する健診研究が容認されたことから,総合的に勘案して,(2)おおむの順調に進展している,とした.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響で2年間離島における健診活動が制限されたため,調査対象患者を拡大し,新型コロナウイルス感染症の影響を比較的受けづらい(患者人数や行う調査に制限を受けづらい)大学病院の歯科外来を受診する患者を対象として調査を行ってきた.今後も新型コロナウイルス感染症の影響で,離島側の健診がストップする可能性が否定できないため,ここからは研究を2つに分け,目的の達成を目指す. 1)大学病院で調査を行った患者サンプルについて すでに調査対象者の検査データと唾液サンプルが存在することから,唾液の解析を行う.具体的には,回収・凍結輸送された唾液のメタボローム解析を研究分担者の杉本が,また,プロテオーム解析を研究分担者の大山が行い,咀嚼能率低下の有無で変動する唾液の代謝産物/蛋白質を探索して候補分子とする.データ解析後,研究分担者の杉本が候補分子の組み合わせ数理モデルを人工知能AIにより開発してデータを機械学習させることで,候補分子をバイオマーカーとした患者層別化が可能かどうかを判断し,可能である場合には層別化された群に分けた口腔管理の効果判定指標を導き出すことに挑戦する. 2)離島住民の健診について 離島住民の健診が島側から容認されたため,健診を再開する.1年で収集可能なサンプルの全体数が懸念されるものの,健診に参加して同意が得られた対象者に対しては各種検査を行う.なお,調査対象者数が少ない場合には,1)の大学病院の歯科外来を受診した患者におけるデータをとりまとめて,論文化を目指すこととする.
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