研究課題
挑戦的研究(萌芽)
レジスタンストレーニングや運動による骨格筋幹細胞(MuSC)の活性化・増殖は筋損傷依存である説が強い。しかし申請者は,MuSCの活性化・増殖には筋損傷は必要ない事を示す独自の成果を得ている。増殖したMuSCは最終的に筋線維に核を供給するため,MuSCの操作は筋線維の若返り・機能改善につながる可能性が期待できる。そこで,本申請課題では「非損傷下で,運動依存的にMuSCの増殖を誘導する因子の同定」を目指す。
本申請では,サテライト細胞の静止期シグナルであるカルシトニン受容体(CalcR)の欠損マウスで観察される非負荷筋内のMuSCが運動依存的に増殖するメカニズムは,CalcR-PKA-Yap1経路の破綻であることが明らかとなった。レジスタンストレーニング依存的に増加するThrombospondin-1は血液中で検出できないことから,別の因子による可能性がかんがえられた。逆に代表的なレジスタンストレーニング依存的因子であるIL-6は,レジスタンスモデルにおいてはそれほどMuSCの増殖に重要でない可能性が考えられた。
MuSCは骨格筋にかかる負荷の違いにより静止期と活動期を行き来する。その根底のメカニズムは,申請者が追究してきたCalcR-PKA-Yap1経路と運動依存的に血液中で増加する因子または,局所で発現するThrombospondin-1などの因子であることが明らかとなった。局所,全身性の因子を組み合わせて効率よくMuSCを増殖させ,筋線維核を増加させることができれば,筋線維核の補充による新しい治療法につながることを提示できた。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 図書 (2件)
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