研究課題
挑戦的研究(萌芽)
運動の高血圧改善効果を身体への力学的刺激で再現するという独創的な手法により、その背景となる分子メカニズムを明らかにし、臨床応用・展開を試みる。得られる成果は、高血圧治療における運動療法の最適化と擬似運動療法開発の科学的基盤の確立に繋がる。
ヒト対象試験について:週3回、1回30分間、合計14回の上下動椅子搭乗の血圧下降効果を認めた。連続血圧測定による交感神経活性と心電図のRR間隔の測定による自律神経活動の評価で、上下動椅子搭乗による有意な交感神経活性抑制効果を認めた。動物実験について:高血圧ラットにおいて、介入開始後4週以降では頭部上下動による脳卒中発生の有意な低下を認めた。培養細胞実験について:初代培養アストロサイトで、0.3 Pa以上の流体剪断力にて強度依存的なアンジオテンシン受容体発現低下を認めた。一方、20 mmHg以上の周期的静水圧変化ではアンジオテンシン受容体発現が促進された。
適度な運動が身体機能に好影響を及ぼすことは一般的に認識されているにも関わらず、そのメカニズムに関する研究は筋・骨格系等、運動器に関連したものが多く、脳も含めて、運動器以外の組織・臓器において局所のメカニカルストレス応答を利用して機能を維持・改善するという視点からの治療技術創出の試みは他では行われていなかった。本研究により、身体運動の高血圧改善・交感神経過活性抑制効果のメカニズムが明らかとなり、高血圧治療における運動療法の最適化と、肢体不自由障害者や運動器疾患を有する高齢者など、運動をしたくてもできない者にも適用可能な擬似運動療法開発の科学的基盤が構築された。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
実験医学
巻: 40 ページ: 306-313
Cell Reports
巻: 36 号: 2 ページ: 109380-109380
10.1016/j.celrep.2021.109380
Scientific Reports
巻: 11 号: 1 ページ: 7120-7120
10.1038/s41598-021-85961-5