研究課題/領域番号 |
20K21799
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高嶋 和毅 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60533461)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 空間デザイン / ロボット群 / ロボットディスプレイ / プライバシー / 対人距離 / ロボット型什器 / セキュリティ |
研究開始時の研究の概要 |
開放的なオフィスでは,情報のアクセス範囲(誰に見せて・聞かせてよいか)を制御する仕組みが機能していない.本研究では,空間計測,可視化技術および自律移動什器・ディスプレイ技術を駆使し,オフィス内に物理的に伝搬する視聴覚情報を制御する新たなワークプレイスの基盤術を確立する.具体的には,1.空間内の視聴覚情報の伝搬計算モデルを開発し, 2.空間内の視聴覚情報の伝搬範囲を可視化してワーカの行動変容を狙う方法を検討する.また,より挑戦的な試みとして,3.自走什器ディスプレイを用いて視聴覚情報の伝搬を直接的に制御する方法についても検討する.これらを総合し,よりセキュアなワークプレイス設計指針を提案する.
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研究実績の概要 |
オフィスは知的生産の源であり,持続的な発展に向けては,ワーカが意欲的に作業に取り組める環境を提供できるかが肝である.今日では,共創が注目され, ワーカ同士のコミュニケーションを促進するために,個室を設けない開放的なオフィス設計が主流である.これは一方で,モニタに情報を出力している間,また は会話中に周囲への情報漏洩リスクが高いという課題がある.つまり,現在のオフィス設計は,知的情報処理の場であるにも関わらず,厳密な認証管理にある計算機上のデータとは異なり,情報のアクセス範囲(誰に見せて・聞かせてよいか)を制御する仕組みを持たないという問題がある.ただし,これを解決するため には,“開放的でありながらも閉鎖的でもある”という相反する二つの要件を同時に満たす必要があり,什器や部屋の仕切り等が固定されている現在のワークプレイスの設計思想では解決は困難である.そこで本研究では,空間計測,可視化技術および自律移動什器・ディスプレイ技術を駆使し,オフィス内に物理的に伝 搬する視聴覚情報を制御する有効な仕組みを確立する.
本年は,VR内にオフィスを構築し,様々な環境を構築し,その中で適切な空間づくりの方法について検証した.具体的には,これまで培ってきたロボット群の技術を導入し,頭部搭載ディスプレイを装着したユーザに追従する壁面型ロボットアシスタントを開発した.その効果を検証した結果,VRユーザにとって指先の正確な操作を支援でき,またその操作を保護する役割を持つことが明らかになった.また,VR内で様々なコンテンツ(ウィンドウ)を並べることで,他者に情報漏洩する可能性はゼロでありながら,広大なワークスペースを確保するフレームワークを構築した. 実験をした結果,提案するフレームワークは,十分にオフィスユースに耐えられる事や,今後の改善点などを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である物理的ワークスペースに加えて,VRワークプレイスを導入することで,研究成果を様々な方向に展開することができているため.
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今後の研究の推進方策 |
昨年の成果である音の可視化システムについて,データがまとまらず論文化に遅れが生じている.これを解決する.今年度は最終年度であるため,これまでの成果を統合するシステムを構築し,その効果を実験によって検証する.バーチャルオフィスでの研究やそのプラットフォームの出来が当初の予想より大幅によいものになっていることがわかっているため,物理的ワークプレイスに加えて,VR内でセキュアなワークプレイスの設計指針についても積極的に提案していく予定である.
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