研究課題/領域番号 |
20K21801
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70614353)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 多感覚統合 / アバタ / 身体所有感 / 行為主体感 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,バーチャルリアリティ(VR)環境で操るアバタの見た目を変化させる実験から,身体の見た目が視覚と体性感覚の統合に与える影響とその機序を明らかにすることである.視覚と体性感覚の統合におけるずれの問題を扱う領野は広い.ずれが意識に上らない閾値が調べられてきた一方,閾値を操作して多感覚統合を促進/抑制する手法は未踏である.そこでアバタの見た目が視覚と体性感覚の統合に与える影響の解明から応用まで狙う挑戦的研究として,アバタの見た目の変化による多感覚統合の閾値の変化とその機序の検証,多感覚統合を促進/抑制するアバタ設計法の確立に取り組む.
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研究成果の概要 |
本研究では,バーチャルリアリティ(VR)においてアバタの見かけの抽象度が視覚と体性感覚のずれの検出閾値に影響することを初めて報告し,身体の外見が視覚と体性感覚の多感覚統合を変化させるメカニズムを探索する研究を展開した.得られた知見を活用し,多感覚統合を考慮してVRで直観的かつ精度の良い操作を可能にする手法として,異なる特性を持った手アバタをVR環境に複数配置し,それらを視線で切り替えて操作する手法を提案した.提案手法について,作業領域に応じてサイズ,外見,移動ゲイン等の異なる手アバタを使い分けることで作業効率や精度が向上することを示唆し,その有効性を示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は,視覚を通じて知る手の位置と体性感覚を通じて知る手の位置を統合して尤もらしい身体の位置を推定する多感覚統合の過程において,身体の見かけという位置とは関係のない情報が視覚と体性感覚の統合のされ方に影響することをバーチャルリアリティを使った実験によって世界で初めて示し,それが身体所有感ではなく身体姿勢情報の尤度を介して身体定位に影響するためであることを示唆し,身体知覚研究に新たな知見を提供した点にある.さらに,この知見を活かして,さまざまな産業で活用が広がっているバーチャルリアリティ向けに直観的かつ作業精度の高い新たなユーザインタフェースを提案した点で社会的意義も高い.
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