研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究計画では、強化学習を用いて生物機能を向上させる方法論を開発する。そのために、体制が単純で試験的な研究に適した線虫C. elegansを用い、強化学習を用いて機械学習を行うことにより、線虫の学習能力を制御することを試みる。コンピュータは強化学習により、線虫を目的の場所に向かわせるための刺激を学習する。さらに、線虫の学習能力を高める刺激を学習する。
本研究では、まず線虫の行動を定量観測し、過去の行動および外部刺激のパターンから次の行動を確率的に予測するニューラルネットワークモデルを作成した。次にこのモデル線虫に対して強化学習モデルを学習させることにより線虫の行動を制御することに成功した。一方、線虫の全頭部神経の活動を同時に観測し、神経活動から後退運動を予測することに成功した。さらに、学習により変化するシナプスを特定し、シナプス放出に関わるシンタキシンのリン酸化が学習により制御され、行動を変化させることを明らかにした。
脳の情報の読み取りや操作は脳科学の大きな目標のひとつである。本研究では、線虫を用いて行動モデルを作成し、その上で強化学習を行い、これにより行動を自在にコントロールする方法を取得し、実際の線虫をその方法で制御できることを示した。さらに、分子的な行動制御にも成功し、全頭部のイメージングによる脳活動の読み取り、行動予測にも成功した。これら一連の読み取り、制御技術は将来ブレインマシンインターフェースにより神経損傷患者のリハビリ支援などの技術を開発する際の基盤的な学術的知見として有用となることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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