研究課題/領域番号 |
20K21810
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青柳 富誌生 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90252486)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | レザバー計算 / カオス / 非線形力学 / 内的時間 / 非線形力学系 / リヤプノフ指数 / 動的平均場理論 / 非線形 |
研究開始時の研究の概要 |
心における内的時間の獲得の原理や本質は、非自明な数理モデルとして検証するのが難しい研究課題である。何もしていない時も時間経過を感じるが、実際脳は常に活動している。最近の実験から、自発脳活動はランダムではなくある種の能力とも関連していることが示唆された。一方、レザバー計算というニューラルネットワークの枠組では、自発的活動の状態と学習能力が密接に関係している。そこで、レザバー計算を活用して事象の時系列を学習することで、内的時間獲得に関する数理モデルの新たな方向性の研究を目指す。更に、様々な障害を与えたときの振る舞いを観察し内的時間の崩壊の様子を調べ、実際の病理学的知見と比較検証する。
|
研究成果の概要 |
心の内的時間の獲得の原理や本質は、非自明な数理モデルとして検証するのが難しい研究課題である。本研究では時系列パターンをリカレントニューラルネットワークに学習させる状況設定を想定し、そのために必要な記憶と非線形演算の機能を、自発活動のダイナミクス(入力がない自由な状態)と関連づけて理論と数値実験により詳細に調べた。特に自発活動に着目し、そこへ入力信号の入るニューロンの割合と条件付きリヤプノフ指数の関係を動的平均場理論を用いて解析的に調べた。この結果、レザバー機能を発揮するためには、入力信号の強度が一定以上でなければならず、また、入力信号の割合がある臨界値を超える必要があることが明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の方法は、神経活動の自発的なダイナミクスの特性の観点から、内的時間の獲得メカニズムを理解する新たな視点を提供する。すなわち、レザバー計算の理論を自発神経活動の解釈に応用することの可能性を示すものであり、最終的には脳の時間感覚の理解を一層深めることを可能にすると考えられる。また、工学的応用として現実の大自由度非線形力学系を計算資源として活用する物理レザバー計算への知見の活用が考えられる。本研究の理論的成果は、レザバーとして機能するには、システム全体の一定以上の部分が入力を受け取ることが必要であることを示しており、これは新たな設計指針としての意義がある。
|