研究課題/領域番号 |
20K21814
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮澤 清太 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (10377905)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 模様パターン |
研究開始時の研究の概要 |
「似てるけどちょっと違う…」「全然似てない…」動物の模様を見るとき、我々は無意識のうちにそのパターンを識別し、分類している。直感的には妥当に思えるそうした「模様の見方」は、本当に正しいのだろうか?「似ている」ように見える模様が実はあまり近くなく、「全然違う」ように見える模様が本当はとても近い――これまでの「模様の見方」を覆すそうした事例が、パターン形成の数理モデルを用いた最近の研究から明らかになってきている。本研究では、「模様を見ない」(=主観・直感に頼らない)模様解析の手法をモデルにもとづき確立することで、我々が「見えているのに見逃していた」多様性認知バイアスをあぶり出すことを目指す。
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研究実績の概要 |
動物の体表模様など、生物に見られるパターンを観察するとき、我々は無意識のうちにそれらを識別し、分類している。パターンの違いは誰の目にも「見ればわかる」ように感じられるため、「他種とまったく異なる模様パターン」が観察された場合には、新種/別種であることを示す強い根拠であると考えられる傾向にあった。しかしながら、こうした直感的な「模様の見方」が妥当であるかどうかについて、これまで明示的な検証がなされているとは言い難い。本研究課題では、「模様を見ない」(=主観・直感に頼らない)、数理モデルに依拠した模様パターン定量化の手法を確立するとともに、模様解析データと系統解析データとを照らし合わせることでパターンモチーフ間に存在する関係性を可視化し、我々の直感的なパターン識別・分類体系に潜む多様性認知バイアスを明らかにすることを目指している。本年度は、昨年度から継続して、現実に見られる体表模様パターンの解析を、海産および淡水産の魚類数千属を対象に進めた。斑点、縞模様、目玉模様等、多くの魚類中で頻出し直感的にも識別が容易であると考えられるパターンモチーフに着目し、属内におけるモチーフポートフォリオがどのように遷移するかについて系統情報を用いた解析を行った。さらに、代表的なモチーフポートフォリオをもつ特定の魚種グループを対象に模様パターンとゲノム情報とを合わせた解析を進め、種内・種間の模様パターンの違いや共通性とゲノム情報にもとづく集団構造との関連について新たな知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
系統的グループ内に見られる模様モチーフの組み合わせ・ポートフォリオに着目することで、モチーフ間に存在する関係性を可視化し、それらのバリエーションがどのように遷移し得るかを明らかにするという本研究の取り組みには一定の成果が得られている。また、代表的なモチーフポートフォリオをもつ魚種グループのゲノム情報を用いた解析にも進捗があり、総じておおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
模様パターンを構成する模様要素、モチーフのそれぞれについて最適な定量的解析手法を提案/検討していくとともに、模様パターン多様性の様態やそれらの遷移過程について、ゲノム情報をもとにした系統解析や集団構造解析を中心に明らかにしていきたいと考えている。また、模様の認識に関わる部分についても、シミュレーションを用いて人工的に生成した模様パターンの判別実験等により検討を行っていきたいと考えている。
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