研究課題/領域番号 |
20K21840
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
竹内 望 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30353452)
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研究分担者 |
鏡味 麻衣子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20449250)
村上 正志 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (50312400)
瀬川 高弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90425835)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 氷河 / 積雪 / ツボカビ / 雪氷藻類 / 暗色化 / 寄生 / 雪氷 / 寄生性菌類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,氷河や積雪上のツボカビの生活史や生態の解明を行い,この雪氷性のツボカビが雪氷藻類への寄生を通じて氷河生態系に与える影響を明らかにすることを目的とする.国内外の積雪や氷河で雪氷試料を採取し,ツボカビおよび藻類のDNAおよびRNA解析,顕微鏡分析によって,各地域の雪氷のツボカビの種類と宿主特異性を明らかにし,雪氷環境解析によってツボカビの寄生率を決める要因,ツボカビの生活史を推定する.
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研究成果の概要 |
アラスカの氷河表面から採取された試料を分析した結果,氷河表面で繁殖する複数の藻類すべてにツボカビが感染していることが明らかになった.さらにツボカビの雪氷藻類への感染率を求めた結果,氷河の氷の表面よりも融解水が溜まったクリオコナイトホールで高い感染率であることがわかった.さらに北極域の他の地域の氷河の試料を分析した結果,どの地域でも藻類のツボカビ感染を確認することができた.日本の積雪の雪氷藻類を採取し,分析を行った結果,藻類に多数のツボカビが感染していることが明らかになり,ツボカビ感染は広く氷河積雪環境で起きていることがはじめて明らかになった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在,北極圏の氷河を中心に雪氷藻類の繁殖域が拡大し,氷河表面を暗色に着色し融解速度が速まっていることが報告されている.本研究では,その雪氷藻類には,普遍的にツボカビが寄生していることが明らかになった.このことは,ツボカビは藻類による氷河の融解加速を抑制する効果があることを示唆している.今後さらに詳しい解析が必要であるが,氷河上の藻類とツボカビの関係を明らかにすることは,雪氷圏の将来予測に重要となる可能性がある.さらに,日本の積雪にも藻類に寄生するツボカビの存在が広く明らかになったことは,日本でもまだ理解の進んでいない積雪上の生態系解明に重要な意味をもつ.
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