研究課題/領域番号 |
20K21844
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 特定研究員 (80390590)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 大気ライダー / 校正手法 / 環境計測 / 蛍光スペクトル |
研究開始時の研究の概要 |
気温・水蒸気・エアロゾル・オゾン等の精緻な空間分布を得る環境計測ライダーは、豪雨災害をもたらす局所的な積乱雲生成過程の理解や、健康影響に直結する大気質診断に有用な情報を提供する。多くのライダー装置は複数の検出器で構成されており、それらの校正が信号から導出される物理値精度の鍵となる。本研究では、蛍光体の発光スペクトルを用いたライダーの新しい校正手法を開発する。ライダー光源を用いて「その場」で校正する本手法は、汎用化のボトルネックとなっていた校正についての課題を解決し、単純かつ高精度・高頻度の校正は、品質の良い観測データの取得に役立つ。
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研究実績の概要 |
気温・水蒸気・エアロゾル・オゾン等の精緻な空間分布を得る環境計測ライダーは、受信光の分光検出を基礎としており、その校正精度が観測データの質に影響する。本研究では、単純かつ高精度・高頻度の校正を可能とする手法を提案し、豪雨予測や健康影響評価に有用な環境計測ライダーの定量計測に貢献することを目的とする。これまでに、プラズマ発光蛍光体を用いた校正用の入射機構を構築した。大面積の面発光が可能なプラズマ発光蛍光体は、LED、タングステンランプ、重水素ランプなどの点光源に比べて設置角度に対するロバスト性は高いものの、設置角度の微小なズレが校正スペクトルの誤差要因となりうる。そこで、敢えて入射角を微小にずらし、そのスペクトルの平均をとることで、安定した校正値が得られることがわかった。 本校正を適用したライダーの評価は、京都大学生存圏研究所・信楽MU観測所にて2022年9月、2023年9月に行われたドローン・係留気球、およびドップラーライダーとの複合観測から実施した。観測所は森林域に囲まれているが、有機物を多く含む都市大気等の多様な大気条件下で本校正装置の有効性を評価する必要があると考えた。そこで、2023年は、並行して進めている基盤研究(B)「機動的な車載複合ライダーによる地表近くの気象と大気微量成分の3次元センシング」で開発した車載ライダーに登載して、都市部、山岳域、寒冷地等での実証実験を実施した。観測サイトの特徴に応じて、校正装置の微調は必要となるが、どのケースでも本校正装置が観測精度向上に有用であることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
校正装置の最適化に時間を要したため、有用性の検証が十分とは言えない。データ取得が十分でない農地上で行う追加実験を行う。
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今後の研究の推進方策 |
校正に適した分光系の最適化を継続中であり、その校正値の安定性能の評価を、特に観測できる期間が限られるため、データ取得が十分でない農地上で行う予定の検証実験を行い、その成果を論文として取りまとめる。
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