研究課題/領域番号 |
20K21854
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 (2021-2022) 弘前大学 (2020) |
研究代表者 |
小畠 秀和 同志社大学, 研究開発推進機構, 教授 (10400425)
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研究分担者 |
井上 晴彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (10435612)
塚本 勝男 大阪大学, 大学院工学研究科, 招へい教授 (60125614)
桐原 慎二 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (60519594)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 細菌 / 溶解 / 結晶表面 / 結晶成長 / カルサイト / その場観察 / 分解 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,天然資源に漁獲を左右される不安定な海面漁業から,比較的生産が安定する養殖への転換が進んでいる.しかし,養殖漁業では貝殻などカルサイトを主成分とする大量の水産廃棄物が生じており,これらの処理が大きな経済的負担となっている.一方,細菌による物質の分解が着目されている.本研究では特に炭酸カルシウムの分解を促進する細菌に着目し,この細菌が何時,どこで,どのように鉱物を分解するのかについて,そのプロセスを位相シフト干渉計でその場観察する。このその場観察を通じて,細菌の活動によるカルサイトの分解プロセスの関係をnm-オングストロームレベルで解明し,低温で貝殻を処理するプロセスへの応用を図る.
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研究成果の概要 |
方解石の分解に対する細菌の役割を調べるために、方解石の劈開面を切り出し単離した細菌の培養液に浸漬させることで、方解石の溶解プロセスの違いを調べた。実験後に培養液中のCaイオン濃度測定と、方解石の結晶表面の観察を行った。4日間の実験後、pHに大きな変化がないにも関わらず、Streptomycesの培養液中のCaイオン濃度は、Escherichia coli DH5やコントロールの培養液中の濃度に比べて1/3程度まで減少することが分かった。このStreptomycesの培養液中に浸漬された方解石表面には多数のピットが形成されており、この細菌の活動によって溶解が促進されたことが示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
養殖などで大量に発生する貝殻を生物活動で安価に分解する技術は、わが国の水産業の持続的発展にとって必要な技術である。特殊な細菌が自然環境において無機結晶の成長を促進することは良く知られており、様々な研究が行われてきたが、どのように生物活動により溶解が促進されるのかそのメカニズムには不明な点が多かった。今回、細菌による方解石の分解プロセスを詳細に観察することによって細菌の方解石に対する分解メカニズムの一端が明らかになった。この結果は貝殻処理の低コスト化につながるだけでなく、石灰岩が分解されアルカリ土壌が形成されるメカニズムについても、新しい知見を得た。
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