研究課題/領域番号 |
20K21860
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新里 宙也 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70524726)
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研究分担者 |
山下 洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (00583147)
鈴木 豪 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (30533319)
亀山 宗彦 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70510543)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | サンゴ / DMSP / DMS / 遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
海岸を歩いていると感じる「磯の香り」硫化ジメチル(DMS)は、植物プランクトンの浸透圧調節物質であるDMSPから、DMSPリアーゼという酵素により生成される。DMSは大気中で水蒸気の凝結核となって雲を形成し、太陽光を遮ることで、地球冷却効果に重要な役割を果たすと考えられている。我々は18種の造礁サンゴの全ゲノムの比較解析から、通常動物に存在しないはずのDMSPリアーゼ酵素遺伝子が、サンゴ礁に優先しているミドリイシ属サンゴで、爆発的に増加していることを発見した。ミドリイシ属サンゴは、DMSを産出しているのだろうか?その可能性を遺伝子解析を中心に検証する。
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研究成果の概要 |
植物プランクトンが浸透圧調節物質であるジメチルスルホニオプロピオン酸(DMSP)は、主に細菌や植物プランクトンが持つDMSPリアーゼという酵素によって硫化ジメチル(DMS)へと転換される。DMSは大気中で水蒸気の凝結核となることにより、地球冷却効果の役割を果たしていると考えられている。通常動物はDMSPリアーゼを持たないが、特定のサンゴ(ミドリイシ属)においてDMSPリアーゼに似た遺伝子、DMSPリアーゼ様遺伝子の数が、ゲノム上で大きく増加していた。本研究は、サンゴ及び真核生物におけるDMSPリアーゼ様遺伝子の進化的背景の解明と、サンゴにおける役割の推定を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
DMSPリアーゼ様遺伝子はサンゴの共生藻からも確認されたので、当初はサンゴのDMSPリアーゼ様遺伝子は共生藻からの遺伝子水平伝播が疑われた。現在利用可能な遺伝子データベースを網羅的に解析したところ、共生藻からの水平伝播ではなく、刺胞動物の共通祖先でDMSPリアーゼ様遺伝子を獲得したことが示唆された。その他に、刺胞動物以外の動物からは確認されない、動物のDMSPリアーゼ様遺伝子は他の真核生物のDMSPリアーゼ様遺伝子や原核生物のDMSPリアーゼとは起源が異なる、ことも明らかにした。DMSPリアーゼ様遺伝子がサンゴにおいてどのような役割を果たしているのか、その詳細の解明が今後期待される。
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