研究課題/領域番号 |
20K21877
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西澤 松彦 東北大学, 工学研究科, 教授 (20273592)
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研究分担者 |
吉田 昭太郎 中央大学, 理工学部, 助教 (20785349)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 表皮電位 |
研究開始時の研究の概要 |
体重の16%を占める最大臓器である「皮膚」は,体内の恒常性維持を担う生命の根幹であり,最近は温度・光・圧力などを感知して応答する自律的な機能が注目されている。本研究では,これらの刺激に対する皮膚応答を,表皮層のイオン構造(イオン局在)に対応付ける「皮膚イオニクス」を探求する。そのために,「表皮電位」を刺激応答の最中に計測するin-situ技術を開発し,さらに,パッチ形状への加工によって長時間・多点計測の実現にも挑戦する。生化学的な手法に依存する従来の皮膚科学を電気的手法の導入で革新し,未解明な皮膚機能のイオニクスに迫る。
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研究成果の概要 |
エポキシ樹脂によるポーラスマイクロニードルの作製法を確立し,針形状と空孔率を最適化した。パリレンによる二ードル側面の被覆技術を開発して「先端開口ポーラスニードル」を実現した。これによって,格段に精度の高い表皮電位のピンポイント計測が可能になった。先端開口ポーラスニードルを用いる表皮電位計測パッチを開発し,赤色光の照射によるバリア機能の回復促進効果を計測した結果,照射強度と照射時間に最適地があることを突き止めた。さらに,携帯型の電位計測装置を開発することで,長時間の表皮電位モニタリングを可能とし,表皮電位(バリア機能)の日内変動の計測に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳や筋肉に大きく遅れて,近年,皮膚がイオニックなシステムであることが徐々に解明され始めたが,これまでの皮膚科学の手法は生化学的なアプローチが主であった。本研究で開拓を目指した「皮膚イオニクス医工学」は,神経・筋肉系で確立を遂げた電気的な計測・制御の技術体系を皮膚に展開し,皮膚のイオニックな構造・機能連関を解明して医療工学につなげる新分野となる。本研究によって、未解明な自律的皮膚感覚のメカニズムに表皮電位計測で迫り,アトピーなど皮膚疾患の電気的な診断・治療法の開発に挑む新分野の土台を創り出すことができたと考えている。
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