研究課題/領域番号 |
20K21899
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松本 健志 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (30249560)
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研究分担者 |
星野 真人 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (30508461)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | ダイナミック位相CT / 血管拍動下・全周囲観察 / 高密度分解能 / 放射光 / 血管拍動下観察 / 血管全周囲観察 |
研究開始時の研究の概要 |
大動脈瘤の形成や破裂、大動脈解離などの致命的血管疾患は高血圧症に合併することも多く、血管壁の局所的な脆弱性が起点となる可能性も想定される。このことは、血管壁の局所的な変形・力学特性の決定因子である血管壁の線維構造が深く関与していることを意味している。したがって、血圧変動に対する血管壁の線維構造変形を全周に渡って微視的に観察することには大きな意義がある。本研究によって、拍動している血管壁における線維構造の動的なイメージングが実現すれば、致命的血管疾患の病態解明に役立つとともに、血行動態シミュレーションを予測医学へと昇華させる推進力にもなる。
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研究成果の概要 |
動脈血管の全周構造を拍動下でイメージングするために、タルボ干渉計を用いたX線位相差ダイナミックCT(PCT)を確立した。実験はSPring-8放射光施設で行い、イヌ頸動脈の摘出血管に拍動圧(0.5Hz、70-90mmHg)を負荷しながら、位相ステッピング法によって複数の拍動周期時相においてPCTイメージを得た。時間、空間分解能は、各々、250ms、4.47μmであり、ファントム計測に基づく密度分解能は2.5mg/cm3であった。撮像後に試料をElastica van Gieson染色し、比較検討した結果、PCTが動脈壁の線維構造検出およびその変形トラッキングに有効であることが確認できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血管壁の局所的な力学的特性の異常は、血管初期病変の発生に関わるとともに、大動脈の解離や瘤の形成・破裂など、カタストロフィックな事象発生の起点にもなる。本研究で確立したX線位相差ダイナミックCTは密度分解能に優れ、拍動下において血管壁の局所的な変形を観察するための新奇な手法として、血管研究にイノベーションをもたらすものである。本法を血管壁の動的力学試験に応用し、数理シミュレーションとの統合を図れば、血管破綻に進展するマイクロダメージを予測するフレームワークの作成が可能となり、従来の「血管内圧-内外径」関係に基づく血管バイオメカニクスの知見を大きく向上させることが期待できる。
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