研究課題/領域番号 |
20K21920
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢口 直英 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任研究員 (30882568)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イスラーム医学 / イスラーム哲学 / イブン・スィーナー / 『医学典範』 / ファフルッディーン・ラーズィー / イブン・ナフィース / クトゥブッディーン・シーラーズィー / イブン・ルシュド |
研究開始時の研究の概要 |
イスラーム世界における医学はイブン・スィーナーの『医学典範』で頂点を迎え、その後は独創的発展が起こらなかったと言われてきた。大量の注釈書や要約書が生み出されたことは『医学典範』の広い受容の証拠だが、これらの派生文献は近年まで重要視されず研究が乏しい。 本研究は『医学典範』の注釈書を資料として、『医学典範』とその派生文献がその後のアラビア語医学文献に与えた影響を調査し、『医学典範』を改めてイスラーム医学の歴史上に位置づけることを目的とする。これまで曖昧に重要視された『医学典範』の価値を明らかにすることで、イブン・スィーナー以後のイスラーム医学の研究の裾野が広がるだろう。
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研究成果の概要 |
本研究では、イブン・スィーナー(1037年没)の『医学典範』の受容を解明するため、その注釈書のうち3点を主要な資料として、それらの間および注釈書以外の文献との間で、比較分析を行った。 注釈者たちは『医学典範』を医学書として、またイブン・スィーナーの思想体系の一環をなす哲学書として読み、相互に参照や批判を行って、医学研究を活発に続けていたことが明らかとなった。一方で、その他の伝統と比較すると、注釈者たちによる医学や哲学の理解にはイブン・スィーナーの影響があるが、彼らは必ずしも従順ではなく独立した議論を行っていることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は『医学典範』の注釈書の研究を通じて、『医学典範』を改めてイスラーム医学の歴史上に位置づけることを目的とした。その注釈書を別個に取り上げてその思想や特徴を明らかにする研究は既に行われていたが、本研究は『医学典範』を中心として成立した一連の注釈書を包括的に扱い、『医学典範』およびその注釈書の実態と、それらの歴史的意義の解明を目指した点に学術的意義がある。『医学典範』やその注釈書はさらなる研究を要するが、本研究はその端緒として有意義である。
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