研究課題/領域番号 |
20K21921
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
WANG WENLU 東京大学, 東京カレッジ, 特任研究員 (50876232)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | カトリック教理書 / カトリック世界宣教 / マニラ・インキュナブラ / キリシタン版 / 翻訳 / 知識体系の対話 / デジタル学術編集版 / TEI / キリスト教 / 知の出会い / 知の翻訳 / アニマル・スタディーズ / デジタル校訂版 / 知的環境 / 地域性 / マニラ / Digital Critical Edition / 世界宣教における地域間比較 / 格物窮理便覧 / 世界宣教 / 使徒信条入門 / ひですの経 / 比較 / カトリック教会の世界布教 / 教理書 / 漢訳キリスト教文献 / TEIに準拠するマークアップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世のキリスト教とアジアとの出会いの過程で生じた思想交流における、超地域的な関連や、普遍的な特徴を明らかにするものである。具体的には、17世紀初頭にフィリピン・マニラで刊行された漢文キリスト教文献『格物窮理便覧』を取り上げ、同書の内容や総体的な特徴を、底本であるスペイン語原典『使徒信条入門』との比較を通して明らかにする。その上で、日本で同じく『使徒信条入門』を原典として編纂されたキリシタン版『ヒイデスの導師』・『ひですの経』と比較することで、中国語と日本語の翻訳との間における、内容の取捨や訳語の選択等の共通点と相違点を明らかにする。
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研究成果の概要 |
『格物窮理便覧』(1607)はマニラ・インキュナブラの一つで、中国大陸以外で出版された漢訳教理書一つである。同書の内容と言語表現に、四書、「綱鑑」系統の史書、類書などの通俗書の影響が見られ、中下層知識人の知的環境が反映されている。また、同書の第一巻のみはスペイン語原典とされる『使徒信条入門』やそれに基づいたキリシタン版の三者の共通内容で、在来の知識体系の影響で異なる形態の知的対話がなされた一方、伝統医学など共有される知識が日中訳の共同点としても浮かび上がった。そして本研究では活字翻刻が存在しない同書の人文学テキストの国際標準規格であるTEIガイドラインに準拠したデジタル学術編集版を作成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ドミニコ会士の手による、マニラで刊行された『格物窮理便覧』を、スペイン語原典、同時代の日本語訳であるキリシタン版、さらにイエズス会士を中心に中国大陸で刊行したカトリック教理書との比較を通して考察することで、同書の地域特性をより明らかにした。また、地域や修道会の単位を超え、カトリック宣教師による現地語著作を横断的に考察し超地域的な特性を検討することで、中国キリスト教史研究とキリシタン研究を有機的に連結でき、アジア地域内部の視点の価値を明らかにした。同書のTEIに準拠したデジタル学術編集版の作成は(とりわけ東アジアの言語で書かれた)人文学のテキストの国際基準に準拠した構造化の発展にも寄与した。
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