研究課題/領域番号 |
20K21923
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
綱川 歩美 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (60882628)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 闇斎学 / 武家社会 / 儒学 / 藩儒 / 藩主 / 教育 / 日本近世 / 稲葉迂斎 / 新発田藩 / 高鍋藩 / 武士 / 藩校 / 教学 / 『小学』 / 朱子学 / 教養 / 近世 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、山崎闇斎にはじまる朱子学の内容と、近世の支配者である武士階層の心性や行動にあたえた影響関係を分析するものである。闇斎学は初歩的で啓蒙的な朱子学の内容を教えの特徴とするところがある。それはある種の揶揄を含んで道学主義とよばれ、社会を変革する思想というよりは、現状維持あるいは停滞させる思想としてイメージされてきた。しかし一方で、近世を通じて主に武士階層に受け入れられ続けたという一定の支持と継続性がある。こうした両側面を念頭に、本来的には戦闘員で学問からは遠い存在であった武士たちと闇斎学は、どのように切り結び、近世社会での位置を得たのかを具体的に明らかにするものである。
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研究成果の概要 |
本研究は日本の17世紀末から18世紀における武士階層の儒学受容に焦点を当てた。この時代は18世紀半ば以降の幕政・藩政改革なかで、政治と学問(儒学)の緊密な関係が形成される前段階であり、学問の社会的有用性が未だ信用に足らない時代である。本研究の成果は、儒者と武士が儒学(朱子学)を共通の政治的方法論として錬磨していく過程を明らかにした点にある。儒者と藩士・藩主を主な構成員とするこの時期の闇斎学派では、初歩的な道徳教化を個々の政治主体化への目処としていた。とりわけ低年齢、幼年の君主への教化という課題が意識された。このことは、藩校の設置をはじめとする藩士教育への移行を推し進めるのに寄与したはずである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、日本の近世における儒学(主に朱子学)が、藩地域(大名家を中心とする武家社会と関連する諸地域)への受容の過程を明らかにするものである。近世の儒学思想は個人の修養から家の規範、そして政治の次元までを包摂し、ある種の変容を伴いながら、教化や教育を通じて人々や社会の一部を形成していく。個人や組織のなかでの受容をめぐる具体的な経緯をより鮮明に描くことが重要である。そして、その解明によって近代へとも繋がる個々の規範や家意識を理解することができるはずである。
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