研究課題/領域番号 |
20K21930
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
本多 康子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (80881979)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 縁起絵巻 / 高僧伝 / 模本 / 時宗(時衆) / 転写 / 祖師絵伝 / 遊行上人縁起絵 / 絵巻 |
研究開始時の研究の概要 |
中近世にかけて制作された時宗の祖師絵伝「遊行上人縁起絵」を主な研究対象とする。この「遊行縁起」は14世紀初頭に成立し、時宗の教線拡大に伴い全国の寺院に流布・伝世された。しかしながら転写本が多数現存するにも関わらず、その全体像は明らかになっていない。 本研究では、諸本の調査分析を通して一連の絵巻群の体系化を行い、失われた祖本の復元的考察を通して美術史上の位置づけを明らかにするとともに、従来の「一遍聖絵」研究を中心に語られてきた時宗における祖師絵伝制作の意義を再考する。さらに、制作環境とその背景にある人的・文化的・宗派間ネットワークで形成された時宗文化圏の諸相を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、展示機会が少ない神戸市立博物館所蔵の遊行上人縁起絵断簡を調査し、その人物描写などは14世紀縁起絵巻の特徴が看取できることを確認した。同作と制作年代および制作環境が近いと目される遠山記念館本断簡を改めて実見し、比較検討を行う予定である。 併せて、「一遍聖絵」巻12巻末および「遊行縁起」巻10第1段にて描かれる一遍終焉の地である兵庫・御影堂(現:長光寺)を実見し、描かれている石碑及び松の位置関係を確認した(堂宇は現存せず)。 併せて、藤田美術館所蔵の「一遍上人像」について、その周縁作品の遊行寺本、九州国立博物館本などを比較検討した結果、九州国立博物館本「一遍上人像」とモティーフ(一遍肖像、六字名号、頌)の構成がほぼ同一であり、制作環境・制作年代が近似している可能性を提示し、一遍肖像画としての位置づけを明らかにした。(『國華』第1543号に掲載予定)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光明寺本、遠山記念館本、来迎寺本などいくつかの諸本調査について実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは神戸市博本断簡と制作環境・年代が近いとされる遠山記念館本断簡を調査し、これらの周縁における遊行縁起絵制作の実相を明らかにする予定である。 また、今年度調査ができなかった光明寺本については、今後熟覧・調査を実施し、遊行寺乙本との転写年代の順番等を明らかにしたい。
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