研究課題/領域番号 |
20K21941
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
横山 龍顯 愛知学院大学, 文学部, 講師 (50880499)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 瑩山紹瑾 / 伝光録 / 曹洞宗 / 禅宗 / 写本 / 文献学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては、日本曹洞宗が全国へ展開する基礎を築いた瑩山紹瑾(1264~1325)の講義録である『伝光録』の本文成立過程の解明を目指す。列島の各地に所蔵される『伝光録』写本の最古層に属する本文については、3種の系統に分類されることが指摘されてきたが、近年の研究によって少なくとも4種の系統が存在することが明らかとなり、更なる実態の解明が俟たれている。 また、『伝光録』には、未調査の写本も数多く残されているため、それらへの文献調査も並行して実施し、『伝光録』の本文がいかなる系譜をたどって形成されたのか、その実態に迫っていきたい。
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研究成果の概要 |
瑩山紹瑾の講述録『伝光録』の写本群について調査を行い、本文の成立過程に関する研究を行った。研究対象としたのは、最も古い形の本文を保持する写本群(古本系統)である。古本系統は錯簡の共有状況・本文の特徴的な表記によって、4種の本文系統(A群・B群・C群・D群)に分類できることが明らかになった。これらは、1つの祖本から書写の過程で分派していったことが知られる。そして、B群には現存写本よりも古い写本からの修訂を行った痕跡が見出された。これにより、散逸した祖本の段階においては、錯簡や脱文が生じておらず、B群の本文がもっとも成立当初に近い本文を有していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
『伝光録』は古写本と流布本では大きく本文が異なっているが、これまでの研究においては、いずれの本文が信頼できるものであるのかという点に注意が払われることは稀であった。本研究においては、古形を保持した『伝光録』の写本群を網羅的に比較対照し、系統立てを行うことで、もっとも成立当初に近い本文が、いずれの写本に記載されているのかを明らかにした。本研究により、信頼性の高い本文に基づく『伝光録』研究が可能になったという点に学術的意義が求められる。そして、日本中世禅宗における思想の一端が明らかになることは、禅思想に淵源する日本文化の解明に寄与するという社会的意義がある。
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