研究課題/領域番号 |
20K21943
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
許 智香 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (60876100)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 西周 / 京城帝国大学 / 安倍能成 / 西周研究 / 哲学関連講座 / 東アジア / 植民地主義 / 翻訳 / 学知 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、何よりもまず、韓国における西洋哲学関連書で使われている概念のほとんどが近代日本で作られたという事実の中身を、歴史的に明らかにすることをめざす。方法としては、思想内容の分析より、資料の収集である。時期別に思想関連翻訳資料をたくさん集め、データ化し、時期ごとの特質を明らかにする。これまでの近代日本思想史における成果を踏まえたうえで、さらに、京城帝大の経験を取り上げることで、近代学知の形成における“植民地主義(西川長夫)”を指摘することをめざす。
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研究成果の概要 |
今研究は西洋哲学の「人文学」化と、西洋哲学の「学知」化が「内地」と「外地」それぞれに何をもたらしたか、以前の歴史との違いは何であったかなどについて「帝国主義と植民地主義」の観点から分析することを目指した。これまでの研究では、西周(1829-1897)がフィロソフィーを翻訳したこと、東京大学の哲学科をめぐる人物と学科課程が明らかにされたが、それは、哲学および哲学科が出来上がってからの事情を詳しく論じたものであった。本研究では、それぞれについて翻訳や学科編成がなされる以前からの様子について史料に基づき、翻訳と制度が「偉業」や「近代的事業」に収まらない、歴史的偶然と全体の中にあることを論証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、翻訳と近代以後の諸制度に関する一国史的説明を止揚する目的で、「近代」がもたらした翻訳と制度の具体的な様子を一時史料に基づいて論証することを目指した。特に日本で行われた翻訳と制度が日本の近代化と啓蒙化のみならず、それと同時に、朝鮮半島においては植民地化をもたらしたことを常に意識した。普通、翻訳や学制は、何かの編纂、何かの生成というプラス的な側面で説明されがちである。本研究では、それらの負の遺産について、制度の突発性(本研究者の東京大学の前史調査)や、帝国知識人の世俗性(安倍能成に関する本研究)を批判的に指摘してきた。
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