研究課題/領域番号 |
20K21946
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
平出 喜代恵 関西大学, 文学部, 准教授 (90882142)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | カント / 倫理学 / 宗教論 / 人間の尊厳 / アクチュアル / 介護 / 医療 / ケア / 生命倫理学 / 法 / 道徳哲学 / 法論 |
研究開始時の研究の概要 |
カントが道徳哲学と宗教論との緊張関係のなかで確立した「人間の尊厳」は、人権の基盤として近代以降の社会を基礎づけてきた。しかし現代では他方で、その内実曖昧さが問題視されてもいる。本研究の目的は、人間の尊厳概念の現代的意義を問うことである。注目すべきは、カントに基づく人間の尊厳概念が現代の法秩序に援用されることで生じている論争、この概念に依拠して生命倫理学の問題が議論される際の係争点である。これらの論点整理を通じて本研究は、人間の尊厳概念を思想史的・歴史的に基礎づけるとともに、この概念が現代社会において法実践的にも生命倫理学的にも依拠するに値する概念であることを浮き彫りにする。
|
研究成果の概要 |
18世紀の哲学者イマヌエル・カントが道徳哲学と宗教論との緊張関係のなかで確立した「人間の尊厳」は、人権の基盤として近代以降の社会を基礎づけてきた。しかし現代では他方で、その内実曖昧さが問題視されてもいる。本研究の目的は、人間の尊厳概念の現代的意義を問うことであった。本研究は、法学や生命倫理学など領域横断的に論じられる人間の尊厳概念の考察をつうじて、この概念が現代社会において法実践的にも生命倫理学的にも依拠するに値する概念であることを明らかにした。さらに、この人間の尊厳概念から現代の価値多元社会で生じる諸問題に取り組むことで、この概念を規範性と柔軟性とを併せもつ概念であることを示してきた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、領域横断的な文献読解に基づいて人間の尊厳概念を新たに意味づけ、それを現代の文脈に問うてきた。このことは、以下三点の意義をもつと自己評価している。すなわち、【1】カントの人間の尊厳概念を人間の内面にかかわる道徳的・宗教的な観点にとどまらず、外的な行為にかかわる法においても決定的役割を担うものとして再評価する(カント研究への貢献)。【2】人間の尊厳ゆえに保障される基本的人権について、その理論的根拠をいっそう堅固にする(現代社会への貢献)。【3】現代倫理学、特に医療技術の発展に伴って複雑化し続ける生命倫理学における問題で人間の尊厳概念が担いうる役割を示す(現代倫理学への貢献)。
|